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2020年12月10日木曜日

小児多系統炎症性症候群(MIS-C)における皮膚粘膜症候

コロナウイルス感染症2019 (Coronavirus disease 2019 :COVID-19)は依然として日本でも広がりをみせており, それに伴って小児例も増加しているようである. 

ただ一般で知られている限りでは, 小児においてはこれまで重症例はほとんどなく, 日本では小児多系統炎症性症候群(Multisystem Inflammatory Syndrome in Children : MIS-C)の症例も明らかなものではこれまで報告されていない.
ただ患者数の増加に伴って稀ながら日本でもMIS-Cが発生する可能性はあるため, 今後も注意が必要であり, 知見を深めておいても損はないだろう.

MIS-Cに関しては数多くの報告されることで臨床的特徴が徐々に知られるようになってきた.

その中でも皮膚粘膜症状がみられやすいというのもそのうち1つであり, 「川崎病と類似した」と初期の頃に表現された理由の1つだろう.

これまでのまとまった報告でも皮膚粘膜症状/徴候について発生頻度などは報告されていた(*1, *2)が, 詳細についてはわかっていないことも多い. そんなMIS-Cの皮膚粘膜症候に焦点を当てて研究を行ったのがJAMA DermatologyのBrief Reportに掲載された今回の報告である.




Young TK, Shaw KS, Shah JK, et al. Mucocutaneous Manifestations of Multisystem Inflammatory Syndrome in Children During the COVID-19 Pandemic. JAMA Dermatol. 2020 Dec 9.
(COVID-19パンデミック中での小児における多系統炎症性症候群の皮膚粘膜症候)



2020年の4月1日から7月14日まででニューヨーク市の2病院に入院しMIS-Cと診断された後ろ向き研究である.
診断基準としてはCDCの基準が用いられている(*3).


分析対象となったのは35人で, そのうち25人の児がMIS-Cの基準を満たした症例で, 10人の児はSARS-CoV-2の感染を示す検査所見がなくMIS-Cの可能性がある症例(probable MIS-C case)として含まれた.
それぞれの年齢の中央値は3歳(範囲: 0.7-17歳), 1.7歳(範囲, 0.2-15歳)である.


全体のうちで29人(83%)に皮膚粘膜所見がみられ, 主として以下のような所見がみられたようである:
・結膜充血: 21人(60%)
・手足の紅斑: 18人(51%)
・口唇充血: 17人(49%)
・口唇のひび割れ: 13人(37%)
・眼周囲の紅斑と浮腫: 7人(20%)
・いちご舌: 8人(23%)
・頬部の紅斑: 6人(17%)

さらにそれよりも頻度は多様な皮膚所見も報告されている.
また, 皮膚粘膜症状は発熱が先行した症例(19/29)では発熱してから平均2.7日後に発現している一方, 皮膚粘膜症状が発熱に先行した症例も存在するようである.

この研究では34人が外来で経過観察されており, そのうち9人で膜様落屑がみられていた.

また皮膚粘膜症候は3歳未満と3歳以上で明らかな違いはなく, またその有無で臨床的な重症度に明らかなは違いはなかったようである.




今回の報告で, 多彩な皮膚粘膜症候がみられる可能性があることや, どのような所見がみられやすいかという点では参考になった.
ただし今回の研究で示された皮膚粘膜症候, 特に結膜充血の発生頻度はこれまでの報告のもの(約50%)(*1, *4, *5)と比べて高いように感じたが, その中で気になったのはSARS-CoV-2感染を示す所見がない「MIS-Cの可能性がある症例」の存在であり, この中には従来からみられた川崎病がそれなりの割合が含まれているのではないかという印象をもった.



実際にMIS-Cの基準を満たした患者と比べて, MIS-Cの可能性があると考えられた患者では結膜充血がみられた頻度が高く(90% vs 48%), 川崎病もしくは不全型川崎病の基準を満たした割合が高い(90% vs 48%)ことは述べられている.

また年齢の中央値も従来のMIS-Cの報告のもの(8-10歳)(*1, *4, *6)と比べて低い(1.7歳)こともそれを示唆しているかもしれない.
(MIS-Cの基準を満たした集団の年齢も低い(3歳)が, それについては割愛する)
川崎病では結膜充血の発生頻度はとても高い(約90%)ため, 典型的な川崎病の症例が含まれると皮膚粘膜症候の発生頻度は高くなる可能性があるだろう.


現在のMIS-Cの基準は比較的非特異的であるため, 実際にはいくつかの病態が含まれているかもしれない. ただしそれにしても今回の研究全体の対象は, 従来のMIS-Cの症例と比べ多様な病態/疾患を含めている可能性が低くないため, 全体における発生率については注意が必要であろうと感じた.





<参考文献>
1) Feldstein LR, Rose EB, Horwitz SM, et al. Multisystem Inflammatory Syndrome in U.S. Children and Adolescents. N Engl J Med 2020; 383(4): 334-346.
2) Dufort EM, Koumans EH, Chow EJ, et al. Multisystem Inflammatory Syndrome in Children in New York State. N Engl J Med 2020; 383(4): 347-358.
3) Centers for Disease Control and Prevention. Multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) associated with coronavirus disease 2019 (COVID-19).
4) Whittaker E, Bamford A, Kenny J, et al. Clinical Characteristics of 58 Children With a Pediatric Inflammatory Multisystem Syndrome Temporally Associated With SARS-CoV-2. JAMA 2020; 324(3): 259-269.
5) Belhadjer Z, Méot M, Bajolle F, et al. Acute Heart Failure in Multisystem Inflammatory Syndrome in Children in the Context of Global SARS-CoV-2 Pandemic. Circulation 2020; 142(5): 429-436.
6) Kaushik S, Aydin SI, Derespina KR, et al. Multisystem Inflammatory Syndrome in Children Associated with Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Infection (MIS-C): A Multi-institutional Study from New York City. J Pediatr 2020; 224: 24-29.


2020年11月15日日曜日

小児多系統炎症性症候群(MIS-C)では一部で心臓伝導系の異常がみられるかもしれない


SARS-CoV-2 (新型コロナウイルス)による感染症(COVID-19)はいまだに世界中で大きな問題となっている.
COVID-19は成人・高齢者と比べて小児では重症となりにくいということがこれまでの多くの報告からわかってきている. しかし世界中でのCOVID-19流行に伴い, 稀ながら流行地域の小児で川崎病に類似した全身炎症性疾患がみられるという研究が相次いで報告されるようになった (*1). 
それらは現在では一般的には小児多系統炎症性症候群(Multisystem inflammatory syndrome in children : MIS-C)と呼ばれており, 川崎病とは異なる存在であると認識されている.

MIS-Cでは複数の臓器系(皮膚などを含む)で障害が生じることが特徴的であり, 消化器症状がみられやすいといったことが知られてきている(*2, *3).
また心血管系への影響から循環障害を伴い血管作動薬などが必要となる例も少なくない ようである. 従って管理する上で心血管系の臨床像を把握することは重要であり, それらにに焦点を当てた研究も報告されるようになってきている(*4).

そこでMIS-Cにおける心臓伝導系障害に着目したのが今回の研究である.




NewYork-Presbyterian Morgan Stanley Children’s Hospitalを受診した21歳未満のMIS-C患者を対象とした後ろ向き研究で, MIS-Cの診断はCDCの基準を用いて行われた(診断基準の日本語版は以下が参考になる(*5).
心電図は入院後にルーティンで検査されていた.

結果としては32人の患者のうち6人(19%)で入院中にI度房室ブロック(AVB)がみられていた.
I度AVBは発症後8日(中央値, 範囲5-10日)でみられ, 1人を除いては3日(中央値, 範囲1-5日)でみられなくなった.
I度AVBがみられた児だけでなく, みられなかった児でも複数の心電図異常が観察された例はあったが, 臨床的には大きな問題はみられなかった.
またI度AVBは分析した範囲では他の臨床的所見との関連性はみられなかった.

このことからMIS-CではI度AVBが一時的にみられることはあるようだが, さらなる伝導障害に進展した児はおらず, また明らかに臨床的問題につながったわけではなさそうではある.


ただし本研究の分析対象は32人とそれほど多くないため, 症例数が多くなると臨床的に問題となりえる心電図異常がみられる例もあるかもしれない. そのためMIS-Cでは, 特に急性期には心電図に関しても注意深いモニタリングを考慮すべきだろう.


心電図異常を伴う理由は明確ではないものの, MIS-Cでは全身の病態が伝導系を含めた心筋に影響を及ぼした結果かもしれない. 実際, PR延長などの房室ブロックは心筋炎やリウマチ熱でも合併することがあることは知られている.
また, MIS-Cと類似していると指摘された川崎病でも房室ブロックを合併することは知られている. 過去には川崎病患者においてPR延長が約50%でみられたとする報告はある(*6).
また川崎病の重症例と思われる川崎病ショック症候群(KDSS)では66.7%で心電図異常がみられたとする研究もある(*7).

典型的な川崎病においては経験的, また最近の報告から心電図異常を伴う頻度はそれほど割合は高くない印象ではあったが, こういった報告を読むと, 心筋傷害を引き起こしうる炎症性疾患では伝導系にも改めて目を向けるべきかもしれないと考えたところである.


<参考文献>

2019年6月15日土曜日

PFAPA症候群の臨床的特徴と新たな診断基準

Clinical features and new diagnostic criteria for the syndrome of periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis.
Int J Rheum Dis. 2019 May 27 [Epub ahead of print]
Takeuchi Y, Shigemura T, Agematsu K, et al



PFAPA症候群の臨床的特徴と新たな診断基準について検討した日本での研究


方法

・2000年4月から2018年4月までに著者とその他の協力施設で治療されたPFAPA患者257人が対象となった
 ・長期間にわたって繰り返す発熱がみられ, エピソード期間中には血清CRP値上昇を見られた患者を選択した
 ・感染症, 悪性腫瘍, 自己免疫性疾患, 遺伝性自己炎症性疾患は除外した
 ・PFAPA症候群の診断はMarshallやThomasらの診断基準を参照した
・対象となった患者の臨床, 臨床検査, 遺伝, 家族歴のデータを分析した
・さらに好中球のCD64分子の数と血清炎症性サイトカインの濃度を測定した





結果

臨床的特徴
・患者の発症時の平均年齢は2.7±1.6歳であった
 ・患者の90.1%は5歳未満で発症していた
・発熱エピソードは平均1.2±0.8か月 (範囲: 0.5-9か月) 毎にみられており, 平均発熱期間は4.5±1.3日(範囲: 2.0-7.9日)であった
・62%の患者は家族で1人以上, PFAPA所見(繰り返す発熱や慢性扁桃腺炎など)がみられていた
・発熱エピソード中にみられる主な臨床所見と発生頻度:
 ・扁桃腺炎or咽頭炎: 94.8%
 ・頸部リンパ節炎: 58.3%
 ・アフタ性口内炎: 51.8%
 ・咽頭痛: 45.4%
 ・嘔吐: 21.4%
 ・頭痛: 33.6%
・発熱エピソード中に行った血液検査:
 ・項目と平均値:
  ・WBC: 12500±4700/μL
  ・CRP: 6.7±4.6mg/dL
  ・血清アミロイドA (SAA): 669.2±449.8mg/mL
 ・血清IgD値は36.2%の患者で上昇(≧10mg/dL)しており, 上昇している患者での平均値は23.0±12.2mg/dLであった
  ・上昇していない患者での平均値は3.0±2.7mg/dLであった


治療
・257人中95人がシメチジンによる治療を受け, そのうち49人(51.6%)で発作がみられなくなった
 ・投与方法: 15-20mg/kg/日 1日2回投与
・発熱エピソード中のプレドニゾロン内服は151人で行われ, 全員が速やかに解熱した
 ・投与方法: 0.5mg/kg/dose
・扁桃摘出は29人で行われ, そのうち25人(86.2%)で繰り返す症状はみられなくなった


遺伝的背景
・罹患している家族における全体的な発生率は60.2%であった.
・家族内でPFAPA患者がみられた場合:
・85.1%は父か母のいずれかの方に患者がいた
 ・兄弟でみられた例は14.2%であった


サイトカインおよび好中球/単球の活性化
・症状がないときには様々な血清サイトカインの上昇はみられなかった
・発熱エピソード中には血清IL-6, IL-8, IL-18, IFN-γ, G-CSF, IP-10, MIG, MCP-1が上昇していた 
・発熱エピソード中に好中球や単球でのCD64の発現が著明に亢進していた
・健康なコントロールや細菌感染症の患者と比べて, 発熱エピソード中にCD16陽性単球の数は増加していた


診断基準 ・分析結果より以下のような診断基準が作成された


・発熱エピソードの回数を年4回以上とすると, 感度98.0%, 特異度80.8%であった
 ・年3回以上とすると感度99.2%, 特異度67.3%であった
・感染症に対するPFAPA症候群の感度は93.8%, 特異度は94.2%であった
・家族性地中海熱に対するPFAPA症候群の感度は93.8%, 特異度は95.6%であった



まとめ

・PFAPA症候群の新たな診断基準が作成され, 細菌感染症や家族性地中海熱との鑑別において有用かもしれない.

2018年6月11日月曜日

生後6か月未満での細気管支炎罹患児におけるその後の喘息発症とその危険因子

Risk factors for asthma after infant bronchiolitis.
Allergy 2018; 73(4): 916-22


乳児早期に細気管支炎で入院した小児におけるその後の喘息発症と危険因子について検討したフィンランドでの前向き研究
・2001-2004年に生後6か月未満で細気管支炎により入院し, 5-7歳まで前向きに経過観察された小児166人が対象
・細気管支炎は鼻炎, 咳嗽とびまん性wheezesあるいはcracklesで特徴付けられる下気道感染症(LRI)として定義された
・入院中に鼻咽頭吸引が施行され, 抗原検出とPCRを用いて病因のウイルスを決定した
・5-7歳の経過観察の受診時に喘息とアレルギーの有無について評価した


11-13歳時での経過観察の受診
・2014年6月1日から2015年1月31日の間で, 11-13歳時の経過観察の受診が計画された
・対象となった166例(細気管支炎群)と, 1例につきコントロールを4例ピックアップした(n = 664)
・5-7歳の受診時から11-13歳の受診時までの病歴を質問票, 医師による診察, 気管支拡張検査で収集した




結果

・166人のうち138人が研究に参加した: 平均年齢は11.7歳(10.2-13.2歳)
・133人のうち18人(13.0%)が11-13歳時で喘息に罹患しており, 11人(61.1%)が男児であった
 ・13.0%はフィンランドの学童における一般集団の喘息の有病率の約2倍
・14人が過去12か月の間で吸入ステロイドを使用しており, その他4人は受診時に喘息と診断されていた
・年齢と性別をマッチさせたコントロールは全員で112人であった(拒否率は83.1%)
・112人のうち12人(10.7%)が11-13歳で喘息に罹患していた
 ・9人が過去12か月の間で吸入ステロイドを使用していた


細気管支炎群とコントロールとの喘息の比較
・5-7歳以降でのアレルギー性鼻炎. アトピー性皮膚炎, 喘息に有意差なし
・細気管支炎群の方がコントロールよりもタバコへの曝露の割合は高かった:
 ・妊娠中の母の喫煙 (13.8% vs 2.7%)
 ・乳児期での母の喫煙 (21.7% vs 5.4%)
 ・乳児期での父の喫煙 (36.2% vs 23.2%)
・細気管支炎群において, 11-13歳での喘息と乳児早期でのタバコへの曝露とは有意な関連性はみられなかった


ウイルスとの関連性
・ウイルスと原因となっていた割合:
 ・RSウイルス: 65.9%
 ・ライノウイルス: 13.9%
 ・その他のウイルス: 13.8%
・7.2%ではウイルスは検出されなかった
・ウイルスの種類と喘息発症との間で有意な関連性はみられなかった


危険因子
・細気管支炎群における11-13歳時での喘息の独立した危険因子:
 ・母が喘息を有する(調整後オッズ比[aOR] 3.5)
 ・5-7歳時でのアレルギー性鼻炎(aOR 4.06)




まとめ
・11-13歳で喘息のある小児では, コントロールと比べて細気管支炎で乳児早期に入院した児ではタバコへの曝露歴を有する割合が高かった
・乳児早期に細気管支炎で入院した児における, 11-13歳時で喘息を有することの危険因子は「母が喘息を有する」と「5-7歳時でのアレルギー性鼻炎」であった

2018年4月26日木曜日

母乳栄養期間・離乳食開始時期との小児喘息の関連性

Prospective Cohort Study of Breastfeeding and the Risk of Childhood Asthma.
J Pediatr 2018; 195: 182-9,e2

母乳栄養の期間および離乳食の開始時期と小児期の喘息との関連性を分析したノルウェーでの前向き研究
・1999-2008年のノルウェーの妊娠女性を採用した全国前向きコホート研究
・最長18か月までの母乳栄養のデータがあり, 現在7歳を過ぎている小児を対象とした
・喘息を以下の3つの分類:
 ・早期一過性: 3歳でのみ喘息が存在
 ・晩期発症: 3歳以降で喘息を発症
 ・持続性: 3歳と7歳の両方の時点で喘息が存在する




結果

・41020人の小児が対象となった
・対象となったうち:
 ・生後6か月で母乳栄養を行っていたのは79%
 ・生後12か月で母乳栄養を行っていたのは38%
・生後6か月で母乳栄養を行っていた児のうち78%が固形食を開始しており, 36%がミルクも与えられていた
・7歳の時点で喘息に対する薬剤を投与されていた小児の割合:
 ・母乳栄養期間<6か月: 5.9%
 ・母乳栄養期間<6-11か月: 4.6%
 ・母乳栄養期間≧12か月: 4.6%
・生後6か月の時点で母乳栄養を行っていた児において, 離乳食の開始時期が6か月未満とそれ以降では喘息発症のリスクに差はなかった
・母乳栄養と帝王切開との相互関係についても検討されたが, 母乳栄養の期間や離乳食の開始時期と関連はなかった
・早期一過性喘息においては, 母乳栄養を12か月以上続けていた児と比較して6か月未満の児では有意にリスクが高かった(aRR 1.46)
・晩期発症や持続的な喘息においては母乳栄養の期間と喘息との間に関連性はみられなかった




まとめ

・母乳栄養の期間および離乳食の開始時期と7歳での喘息との間に関連性はみられなかった



補足
・”complementary food”は本来補完食を意味する言葉ですが, “補完食”という単語があまり一般的ではないと思われることや, 今回の内容を考慮して”離乳食”としています

2018年2月22日木曜日

喘息と水痘ワクチン接種者における水痘(breakthrough varicella)の関連性

Asthma and risk of breakthrough varicella infection in children.
Allergy Asthma Proc 2016; 37: 207-15

ミネソタ州オルムステッド郡での, 18歳未満の小児の喘息と水痘ワクチン接種者における水痘(breakthrough varicella)の関連性を検討した集団ベース症例対象研究
・2005年1月1日から2011年12月31日にbreakthrough varicellaの基準を満たした患者を特定
・breakthrough varicellaの基準:
 ・全身性の丘疹・水疱の急性発症でその他の明らかな原因はなし
 ・水痘ワクチン接種後42時間以上経過してからの発症
・コントロールは以下の条件を満たしていて, 年齢と性別をマッチさせた人を登録:
 ・水痘ワクチンを1回以上接種している
 ・登録前に水痘感染症を発症していない



結果

・breakthrough varicella患者165人とコントロール330人が対象となった
・それぞれの平均年齢は6.6±3.5歳
・患者の83%は発疹数<50個
・水痘ワクチンの2回接種率: 患者 14%, コントロール 24% (OR 0.29)

ワクチン接種からの時間経過
・初回ワクチン接種から経過した時間はbreakthrough varicellaのリスク上昇と関連していた
・ワクチン接種後から経過した時間が4年以内の場合と比較して, より時間が経過している場合にはリスクが上昇していた
 ・4-7年: OR 4.68
 ・>7年: OR 7.30

喘息との関連性
・初回のワクチン接種から経過した時間と接種回数を調整した場合, 喘息の既往のない児と比較して喘息の既往のある児ではbreakthrough varicellaの発症リスクは有意に上昇していた(OR 1.63)
・水痘ワクチン接種前3か月以内での吸入ステロイドや全身ステロイドの投与はbreakthrough varicellaと有意に関連していた



まとめ・個人的感想

・喘息はbreakthrough varicellaの危険因子かもしれない.
・予防接種後に効果が減弱しやすい人や効果がでにくい人が一定数存在する. 高い予防効果を維持するために, そういった人の効果的な特定や対策が今後は求められるかもしれない.

2018年1月19日金曜日

米国小児科学会におけるChoosing Wisely

"Choosing Wisely"は患者と医師に対して過剰医療についての情報を提供することで医師と患者との関係を密にし, 患者中心医療の推進を目的とするキャンペーンです(JAMA 2012; 307(17): 1801-2)


米国の各学会が指針を発表しており, 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics: AAP)も現在以下の10項目発表しています.


1. 明らかなウイルス性呼吸器疾患(副鼻腔炎, 咽頭炎, 気管支炎, 細気管支炎)に対して抗菌薬は使用されるべきではない.

2. 4歳未満の小児における呼吸器疾患に対して鎮咳薬や感冒薬は処方されたり推奨されるべきではない.

3. 微小な頭部外傷の迅速な評価においてCTは必要ない: 画像検査が適応となるかどうかを決定するために臨床的観察/Pediatric Emergency Care Applied Research Network (PECARN)基準が用いられるべきである.

4. 単純型熱性けいれんの小児において神経画像検査(CT, MRI)は不要である.

5. 腹痛のルーティーンでの評価においてCTは不要である.

6. 早産児における気管支肺異形成の予防や治療において高用量デキサメタゾン( 0.5mg/kg/day)は処方しない

7. これまで食物アレルギーを考慮させる病歴のない食物アレルギーにスクリーニングのIgE検査を行なうべきではない.

8. 苦痛がなく痛みもなく成長に影響しない生理的胃食道逆流(GER)に対して酸分泌阻害薬やメトクロプラミドなどの消化管運動改善薬の使用を避ける. いわゆる“happy-spitter”に対して薬物は使用しない

9. 無症候性細菌尿のスクリーニングや治療のためにサーベイランスでの培養を用いるべきではない

10. 乳児の家庭での無呼吸モニターは乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防のためにルーティーンで用いられるべきではない.


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以下では10項目についての解説の要約を付けています

American Academy of Pediatrics
Ten Things Physicians and Patients Should Question



1. 明らかなウイルス性呼吸器疾患(副鼻腔炎, 咽頭炎, 気管支炎, 細気管支炎)に対して抗菌薬は使用されるべきではない.
 細菌感染症(A群溶連菌性咽頭炎や化膿性鼻副鼻腔炎など)を示唆する所見・検査結果がみられない限り, 咳や鼻水といったかぜ症状がみられる場合でも抗菌薬は処方すべきではない.
 呼吸器感染症では「念のため」・「細菌感染症の可能性が否定できない」といった理由で抗菌薬が投与されることが少なくない.
 基本的にはウイルス性疾患である咽頭炎や気管支炎, 細気管支炎では抗菌薬は不要であり, 鼻副鼻腔炎でも自然治癒が十分期待できる例は少なくなく, 抗菌薬が必須ではない.

 不要な抗菌薬は抗菌薬への耐性を招き, 医療費を上昇させ, 有害事象のリスクを上昇させる可能性がある.
 したがって, 極力不要な抗菌薬の使用は避けるべきである.





2. 4歳未満の小児における呼吸器疾患に対して鎮咳薬や感冒薬は処方されたり推奨されるべきではない.
・研究により若年小児においてこれらの薬剤の有益性は少なく, 重篤な副作用を起こす可能性があることが示されている.




3. 微小な頭部外傷の迅速な評価においてCTは必要ない: 画像検査が適応となるかどうかを決定するために臨床的観察/Pediatric Emergency Care Applied Research Network (PECARN)基準が用いられるべきである.
・微小な頭部外傷の小児におけるCT施行を決定する前の臨床的観察は効果的なアプローチである




4. 単純型熱性けいれんの小児において神経画像検査(CT, MRI)は不要である.
・CTは放射線曝露と関連しており, MRIは鎮静を必要としてコストが高い. また熱性けいれんの児の評価における頭部画像検査の使用は文献では支持していない.




5. 腹痛のルーティーンでの評価においてCTは不要である.
・過剰な放射線曝露による生涯での発癌のリスク上昇が懸念されるため, 過剰なCTは行わない.




6. 早産児における気管支肺異形成の予防や治療において高用量デキサメタゾン( 0.5mg/kg/day)は処方しない
・0.5mg/kg/dayより少量の投与と比較して, さらなる治療的有益性はないとみられており推奨されない




7. これまで食物アレルギーを考慮させる病歴のない食物アレルギーにスクリーニングのIgE検査を行なうべきではない.
・臨床的なアレルギーがなく特異的IgE検査陽性である状態はよくみられる.




8. 苦痛がなく痛みもなく成長に影響しない生理的胃食道逆流(GER)に対して酸分泌阻害薬やメトクロプラミドなどの消化管運動改善薬の使用を避ける. いわゆる“happy-spitter”に対して薬物は使用しない
・生理的GERに対して上記の薬剤は効果的ではないというエビデンスがある.




9. 無症候性細菌尿のスクリーニングや治療のためにサーベイランスでの培養を用いるべきではない
・無症候性細菌尿の治療は有害であり, その後の耐性菌感染症の危険因子である抗菌薬への曝露を増やす.




10. 乳児の家庭での無呼吸モニターは乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防のためにルーティーンで用いられるべきではない.
・家庭での無呼吸モニターがSIDSの発生率を減らすというエビデンスはない(Pediatrics 2011; 128(5): 1030-9)

2018年1月16日火曜日

ウイルスの重複感染による細気管支炎は単独感染のものよりも将来の喘息発症のリスクかもしれない

Role of viral coinfections in asthma development.
PLoS One 2017; 12(12): e0189083

後の気管支喘息発症との関連性について, 細気管支炎の原因としてのウイルスの単独感染と重複感染を比較したスペインでの前方視的研究
・2008年9月から2011年12月に細気管支炎で入院した既往のある6-8歳の小児で行われた
 ・入院時の年齢は0-24か月
・児が6-7歳の間に喘息症状についてISACC質問票を用いて質問を行い, 両親が電話で回答した
・ウイルス学的検査(PCR)のための鼻咽頭吸引検体と臨床的データは細気管支炎の入院時に前向きに収集された




結果

・244人の小児が対象となった:
 ・重複感染52人, 単独感染192人
 ・それぞれの患者で臨床的特徴には有意差はなし
・単独感染でみられたウイルスの種類と頻度:
 ・RSウイルス(RSV): 52%
 ・ヒトライノウイルス(HRV): 15%
 ・ヒトメタニューモウイルス(hMPV): 8%
 ・アデノウイルス(AdV): 2.6%
 ・ヒトボカウイルス(HBoV): 1.6%
・重複感染でみられたウイルスの組み合わせと頻度の:
 ・RSV + HRV: 29%
 ・RSV + HBoV: 23%
・アレルギー性鼻炎, アトピー性皮膚炎, 食物アレルギーの有病率に関しては単独感染と重複感染の患者の間で有意差なし
・両群で喘息やアトピーの家族歴に関して有意差なし


気管支喘息との関連
・経過観察での接触時での年齢の中央値は7.3歳(IQR 6.7-8.1)
・反復性喘鳴の発生率は重複感染群で82.7%, 単独感染群で69.7%にみられた
 ・再入院を必要とした喘鳴はそれぞれ21%, 29%
・喘鳴に関連した入院数は単独感染群と比較して重複感染群で2倍だった(p =.004)
・薬剤の使用:
 ・吸入ステロイドが処方されている割合は両群で同程度
 ・モンテルカストは単独感染群よりも重複感染群の患者で処方されている割合が高かった
・過去12か月で喘鳴を呈した割合は重複感染群が単独感染群よりも高かった(30.8% vs 15%):
 ・現在の喘息の有病率と強く相関していた


喘息発症の危険因子
・6-8歳時での喘息発症に関連する独立した危険因子:
 ・12か月以降での細気管支炎での入院(オッズ比[OR] 7.389)
 ・9か月以降での細気管支炎での入院(OR 3.484)
 ・アレルギー性鼻炎(OR 5.910)
 ・ウイルス重複感染による細気管支炎(OR 3.374)




まとめ

・ウイルスの単独感染よりも重複感染の方が, 将来の喘息発症のリスクは上昇しているかもしれない
・また9か月, 特に12か月以降での入院やアレルギー性鼻炎の併存患者も将来の喘息発症のリスクが上昇しているかもしれない

2018年1月6日土曜日

熱性けいれんは後の喘息発症のリスクかもしれない

Risk of subsequent asthma in children with febrile seizures: a nationwide population-based retrospective cohort study.
Pediatr Neurol 2014; 51(6): 795-9

熱性けいれん(FS)罹患児におけるその後の喘息発症のリスクを検討した後方視的研究
・2000年から2005年の間に新たに診断されたFSの児991人(生後1か月から5歳まで)が対象

・マッチさせた5歳未満の熱性けいれんの既往のない小児をコントロールとして比較
・てんかん, 反復性けいれん, ミオクローヌス, 新生児, 喘息の既往のある小児は除外


結果
・FSの児では以下の特徴がみられた:
 ・男児が多い(56.8%)
 ・居住地が都市部(74.7% vs 25.3%)
 ・両親の職業がホワイトカラーの児 (59.3% vs 40.3%)
・FSの児ではアレルギー性結膜炎およびアレルギー性鼻炎といった併存疾患の頻度が有意に高かった
・喘息に罹患した患者の割合はコントロール群よりもFS群で約5%高かった
 ・FSの児での喘息発症のリスクはコントロールの約1.4倍
・都市化のレベルとともに喘息の発生率は上昇していた
・FSに関連した医療機関受診の回数が多いほど喘息の発生率が高かった


まとめ
・FS罹患児は後の喘息発症のリスクかもしれず, またFSに関連した医療機関受診が多いほどリスクは上昇していた

2018年1月5日金曜日

PFAPA症候群


総論

・PFAPA症候群は周期性の発熱(Periodic Fever), アフタ性口内炎(Aphthous stomatitis), 咽頭炎(Pharyngitis), 頸部リンパ節炎(cervical Adenitis)を特徴とする症候群である.
・小児期での周期性発熱の最も頻度の高い原因で, Marshallら1987年に最初に報告した1).
・自己炎症性疾患の1つとして考えられているが, 現時点でははっきりした原因や病態はわかっていない.




疫学

年齢
・アメリカの105例を検討した研究では平均発症年齢は3.4歳であった2).
・発症年齢としては5歳未満が多く, 診断基準にも5歳未満と記載されているものがある一方, PFAPA患者の26.3-31%が5歳以降に発症する3)6).


性差
・アメリカの105例を検討した研究で男児が62%であった2)


家族歴
・PFAPA患者では両親や兄弟にPFAPA症候群や反復性咽頭炎, 反復性アフタ性口内炎の既往歴を有する割合が高い4).
・その他の報告では, PFAPA患者の26-78%で, PFAPA症候群や反復性発熱の家族歴を有していた5)6).


危険因子
・症例対象研究では, PFAPA症候群患者ではコントロールと比較して以下の特徴がみられた7):
 ・母の喫煙率が高い (23% vs 14%)
 ・母乳栄養の割合が低い: (94% vs 99%)
 ・家に水槽がある割合が高い
 ・自然療法・ハーブ療法を使用している割合が高い




臨床症状

発熱
・発熱は突然起こり, 悪寒を伴うことはよくある
・倦怠感や易刺激性, 咽頭痛, アフタ性潰瘍が先行することがある
・高熱がみられることがある
・発熱期間は一般的には3-6日
・発熱のエピソードの間隔は平均29.8日2)


アフタ性口内炎・咽頭炎・頸部リンパ節炎
・Hoferらの報告ではアフタ性口内炎, 咽頭炎, 頸部リンパ節炎はそれぞれ57%, 90%, 78%に認めた6).
・Perkoらの報告ではアフタ性口内炎, 咽頭炎, 扁桃炎はそれぞれ56%, 98%, 94%で認めた5).


その他の症状
・Hoferらの報告では以下の症状を伴っていた6):
 ・消化器症状 (腹痛, 嘔吐) (131/301)
 ・関節痛or筋痛 (86/301)
 ・発疹 (36/301)
 ・神経症状 (8/301)




臨床検査

血液検査
・発作中では中等度の白血球数増加と血清CRP値上昇を認める
・Hoferらの報告では69%の患者で発作中の血清CRP値が5mg/dLを上回っていた6)
・プロカルシトニンは上昇しないとされている8)25).

IgD
・PFAPA患者の全例で上昇していたとする報告もあるが9), 日本人での報告では上昇していた患者は少なく, 上昇の程度も軽度であった10)

サイトカイン
・TNF-αやIL-18は発作間欠期でも上昇していることが示されている10)




診断基準

・Thomasの診断基準がよく用いられている(Thomas criteria)11)

Thomasの診断基準
1 若年(5歳未満)発症の規則的な反復性の発熱
2. 上気道症状がなく, 以下の症状のうち1つ以上を伴う
 a) アフタ性口内炎
 b) 頸部リンパ節炎
 c) 咽頭炎
3. エピソードとエピソードの間での完全に無症状の期間がある
4. 正常な発育発達

・しかしPFAPA症候群の臨床像は多彩であり, Thomasの診断基準を満たさない例でも実際にはPFAPA症候群と考えられるケースが少ないことが指摘されている13).
・2019年になり2つの新たな診断基準が提案されている22)23).








治療

シメチジン(タガメット®)
・シメチジン(20-40mg/kg/day 1日2回)の連日内服により発熱発作消失もしくは頻度減少の効果がみられることがある
・主な効果:
 ・発熱発作の間隔の延長
 ・発熱時の最高温度の低下
 ・発熱期間の短縮
・約1/4の症例で症状がみられなくなり, そのほかの約1/4の症例で症状の頻度や重症度が改善する2)4)11).


副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン; プレドニン®)
・発熱時に0.5-2.0mg/kg/doseのプレドニゾロンの単回投与により数時間で症状が著明に改善する
・Hoferらの報告では63%が単回投与後にすみやかに解熱した一方, 8%では反応がみられなかった6).
・アフタ性口内炎では改善するのにやや時間を要する可能性が示されている12).


コルヒチン
・あるケースシリーズ研究では, 発熱期間が14日以内の頻発患者に対してコルヒチン(0.5-1mg/day)を予防投与し, 発熱期間の延長を認めた報告がある16).
・18例での非盲検無作為試験では発熱エピソードの減少の効果が示されている17).


扁桃摘出
・ほとんどの症例で有効で, 発熱のエピソードはみられなくなる
・ある報告では有効率は97%13).
 ・他の報告でも有効率は92%だった14).
・長期の経過観察報告でも, 術後から発熱のエピソードはみられなくなり, みられていた1例も3か月以内に消失していた15).
・2019年のコクランレビューでも有効性は示されている24).
・PFAPAに対して扁桃摘出は効果はあると考えられるが, PFAPAは自然治癒する疾患であることや, 手術におけるリスクと総合的に考慮する必要があると思われる.

ビタミンD
・PFAPA患者25人のビタミンD状態を調べた研究では, 80%にビタミンD欠乏症, 20%にビタミンD不足があり, 健康な対照群より有意にビタミンD値が低かった18). 
・ビタミンD値は冬季にもっとも低く, 発熱エピソード数やCRP値と相関していた





予後

・PFAPA症候群は通常自然治癒する疾患で, 多くの症例では10歳までに症状はみられなくなる2)11)20)21).
・症状消失までには, 徐々に症状の頻度が低下し, 症状の程度も弱くなる, といった経過をたどる21).





その他

・PFAPA患者ではMMRワクチンの1回接種後にムンプスに対する免疫能が不十分かもしれない19).


参考文献
1) Marshall GS, et al. Syndrome of periodic fever, pharyngitis, and aphthous stomatitis. J Pediatr 1987; 110(1): 43-46.
2) A clinical review of 105 patients with PFAPA (a periodic fever syndrome). Acta Paediatr 2010; 99(2): 178-184.
3) Periodic fever accompanied by aphthous stomatitis, pharyngitis and cervical adenitis syndrome (PFAPA syndrome) in adults. Isr Med Assoc J 2008; 10(5): 358-360.
4) Family History in Periodic Fever, Aphthous Stomatitis, Pharyngitis, Adenitis (PFAPA) Syndrome. Pediatrics 2016; 138(3): e20154572.
5) Clinical Features and Genetic Background of the Periodic Fever Syndrome with Aphthous Stomatitis, Pharyngitis, and Adenitis: A Single Center Longitudinal Study of 81 Patients. Mediators Inflamm. 2015; 2015: 293417
6) International periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, cervical adenitis syndrome cohort: description of distinct phenotypes in 301 patients. Rheumatology (Oxford). 2014; 53(6): 1125-1129.
7) Risk factors for periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and adenitis (PFAPA) syndrome: a case-control study. Eur J Pediatr 2018; 177(8): 1201-1206.
8) PFAPA症候群. 小児内科 2013; 45(6): 1154-5
9) Elevated immunoglobulin D levels in children with PFAPA syndrome. Neuro Endocrinol Lett 2010; 31(6): 743-746.
10) Kubota K, et al. Clinical and genetic characterization of Japanese sporadic cases of periodic Fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and adenitis syndrome from a single medical center in Japan. J Clin Immunol 2014; 34(5): 584-593.
11) Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and adenopathy syndrome: clinical characteristics and outcome. J Pediatr 1999; 135: 98-101.
12) PFAPA syndrome: a review on treatment and outcome. Pediatr Rheumatol Online J. 2016; 14: 38
13) Long-Term Outcome of Classic and Incomplete PFAPA (Periodic Fever, Aphthous Stomatitis, Pharyngitis, and Adenitis) Syndrome after Tonsillectomy. J Pediatr 2016; 179: 172-177.
14) The role of tonsillectomy in the Periodic Fever, Aphthous stomatitis, Pharyngitis and cervical Adenitis syndrome; a literature review. BMC Ear Nose Throat Disord. 2018;18 : 3.
15) Long-term follow-up of tonsillectomy efficacy in children with PFAPA syndrome. Braz J Otorhinolaryngol. 2017 Nov 21
16) Colchicine prophylaxis for frequent periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and adenitis episodes. Acta Paediatr 2008; 97(5): 1090-1092.
17) Colchicine as a therapeutic option in periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, cervical adenitis (PFAPA) syndrome. Semin Arthritis Rheum. 2016; 45(4): 471-4
18) Stagi, et al. Vitamin D levels and effects of vitamin D replacement in children with periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis (PFAPA) syndrome. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 2014; 78(6): 964-968.
19) Mumps, measles and rubella vaccination in children with PFAPA syndrome. Vaccine. 2016; 34(48): 5903-5906.
20) Periodic fever syndrome in children. J Pediatr 1999; 135(1): 15-21.
21) Long-term follow-up of children with periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis syndrome. J Pediatr 2011; 159(6): 958-964.
22) Classification criteria for autoinflammatory recurrent fevers. Ann Rheum Dis. 2019; 78(8): 1025-32.
23) Clinical features and new diagnostic criteria for the syndrome of periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis. Int J Rheum Dis. 2019; 22(8): 1489-1497.
24) Tonsillectomy for Periodic Fever, Aphthous Stomatitis, Pharyngitis and Cervical Adenitis Syndrome (PFAPA). Cochrane Database Syst Rev 2019; 12: CD008669.
25) Yazgan H, et al. C-reactive protein and procalcitonin during febril attacks in PFAPA syndrome. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 2012; 76(8): 1145-1147.

改訂
・2018/3/21: 一部追記
・2018/6/1: 危険因子について追記
・2018/11/19: 「予後」の項目を追加. また一部内容を追記
・2019/10/17: 2つの診断基準を追加
・2020/1/10: 文献24の内容を追加

新生児黄疸はその後の様々なアレルギー疾患発症のリスクであった

Neonatal jaundice and risks of childhood allergic diseases: a population-based cohort study.
Pediatr Res 2015; 78(2): 223-30

新生児黄疸とその後のアレルギー疾患発症との関連性を検討した研究
・対象: 2000-2007年に新たに新生児黄疸と診断された27693人の新生児と, マッチさせた黄疸のない55367人のコホート
・アレルギー性結膜炎(AC), アレルギー性鼻炎(AR), アトピー性皮膚炎(AD), 喘息, 蕁麻疹の発生率とハザード比(HR)を計算した




結果

・新生児黄疸コホートは非新生児黄疸コホートと比較して5つのアレルギー疾患の罹患密度とハザード比が有意に高かった
・HRは年齢とともにわずかに低下した
・非新生児黄疸コホートと比較した新生児黄疸コホートのそれぞれのHR:
 ・AR: HR 2.51
 ・AD: HR 2.51
 ・喘息: HR 2.41
 ・AC: HR 2.24
 ・蕁麻疹: HR 2.06
・光線療法はアレルギー疾患のリスク上昇と有意に関連していた
・交換輸血は蕁麻疹のリスク上昇と有意に関連していた
・出生時体重別に層別化した場合でも, いずれの群でもHR上昇は認めていた




まとめ

・新生児黄疸があった小児ではのちにアレルギー性疾患を発症しやすいかもしれない

2017年12月29日金曜日

難治性胃食道逆流疾患のある小児では牛乳アレルギーの有病率が高い

Food allergy in children with refractory gastroesophageal reflux disease.
Pediatr Int 2016; 58: 254-8


難治性胃食道逆流のある小児における食物アレルギーの頻度を調べた研究
・薬物的GERD治療へ抵抗を示す151人の小児(3-60か月)全員に皮膚プリックテスト, 特異的IgE, 好酸球数, アトピーパッチテスト(APT), 経口食物負荷試験
・経口ミルク負荷試験とアレルギー精査の結果に応じて3群に分けた:
 ・A1群: 経口ミルク負荷試験, IgE介在性アレルギー検査がいずれも陽性
 ・A2群: 経口ミルク負荷試験陽性でIgE介在性アレルギー検査陰性
 ・B群: 経口ミルク負荷試験, IgE介在性アレルギー検査がいずれも陰性




結果

・患者151人は以下の3群に分けられた:
 ・A1群: 35人(23.2%)
  ・28人で牛乳アレルギーがみられた
  ・その他の7人は鶏卵アレルギーのみであったがA1群に加えた
 ・A2群: 30人(19.9%)
 ・B群: 86人
・好酸球数と総IgEはA2群とB群よりもA1群で有意に高かった
・APT陽性の頻度はA2群でもっとも頻度が高かった
・好酸球性食道炎はA1群患者6人, A2群患者4人で観察された
 ・好酸球性食道炎は内視鏡での生検において>20好酸球数/HPFと定義された
・嘔吐, 反復性もしくは慢性下痢はA2群で有意に多かった
・血便, アトピー性皮膚炎, 反復性の喘鳴エピソードはA2群とB群よりもA1群で有意に頻度が高かった




まとめ

・難治性胃食道逆流のある小児では牛乳アレルギーを有する頻度が高く, 牛乳アレルギーのタイプにより臨床像はやや異なるようである

2017年12月19日火曜日

小児の気管支喘息急性増悪の内服治療においてデキサメタゾンはプレドニゾンと同様に効果かもしれない

Randomized Trial of Dexamethasone Versus Prednisone for Children with Acute Asthma Exacerbations
J Pediatr 2017; 191: 190-6

小児の気管支喘息急性増悪におけるデキサメタゾン(DXA) 2回投与とプレドニゾン(PSL)5日間投与の効果を比較した無作為非劣性試験(スペイン)
・対象: 気管支喘息急性増悪で救急外来を受診した1-14歳の小児
・薬剤の投与方法:
 ・DXA: 0.6mg/kg (最大12mg)内服で, 24時間後に同量を投与
 ・PSL: 初回1.5mg/kg/回で内服し, 2-5日目は1mg/kg/day 分2 内服(いずれも最大60mg)
・7, 15日目の2回に電話インタビューを行った
・主要評価項目: 7日目での喘息症状のある患者の割合とQOL
・副次評価項目: 予定外の再診, 入院, アドヒアランス, 嘔吐


結果
・研究期間中に710人が基準を満たし, 590人が参加, 557人で主要評価項目を分析
・7日目での症状の持続, QOL, 入院率, 予定外の救急外来への再受診, 嘔吐は両群で有意差なし
 ・追加の副腎皮質ステロイド治療:
  ・DXA群の7.8%, PSL群の6.2%で追加投与された(有意差なし)
  ・追加投与された患者において, DXA群はPSL群よりも年齢が高かった(6.5 vs 3.9歳)
・アドヒアランスはデキサメタゾン群で有意に良かった(99.3% vs 96.0%)


まとめ
・デキサメタゾン2回投与はプレドニゾン5日間投与と同様に効果的な治療かもしれない
・日本の小児気管支喘息治療・管理ガイドラインとは, 特にデキサメタゾンに関しては投与量に関して大きく異なるので, 日本で適応する場合には注意が必要です
 ・本研究 0.6mg/kg/日 2日間投与
 ・本邦のガイドライン: 0.05-0.1mg/kg/日

2017年12月1日金曜日

PFAPA症候群における家族歴

Family History in Periodic Fever, Aphthous Stomatitis, Pharyngitis, Adenitis (PFAPA) Syndrome
Pediatrics. 2016; 138(3): e20154572

Periodic fever aphthous stomatitis, pharyngitis, cervical adenitis (PFAPA)症候群の患者における家族歴と遺伝パターンを調べた症例対照研究


結果
・80人のPFAPAの指標となる症例と80人のコントロールが採用された.
・18人(23%)のPFAPA症例に1人以上のPFAPA症候群の家族構成員がいた.
・PFAPA症候群の指標となる症例の両親は, コントロールの両親と比較してより反復性咽頭炎(36% vs 16%; P < .001)と反復性アフタ性口内炎(46% vs 28%; P = .002)の頻度が高かった
・PFAPA症候群の兄弟はPFAPA (10% vs 2%; P = .04), 反復性咽頭炎 (24% vs 10%; P=.03), 反復性アフタ性口内炎(27% vs 7%; P=.003)の有病率がコントロールの兄弟よりも高かった


まとめ
・当初はPFAPA症候群では散発例が多いと考えられていたが, 最近では両親や兄弟にPFAPA症候群, あるいはそれに類似した症状の病歴を有する頻度が高いという報告がみられ, 家族歴は診断においてある程度参考になるかもしれない
・PFAPA症候群は早期に気づいて診断することは管理や無駄な検査を減らす(特に迅速検査)という目的でも重要だと思われる

2017年11月13日月曜日

アレルギー疾患, 睡眠時呼吸障害および小児夜尿症の関連性

Association between allergic disease, sleep-disordered breathing, and childhood nocturnal enuresis: a population-based case-control study.
Pediatr Nephrol 2017; 32(12): 2293-301

アレルギー疾患, 睡眠時呼吸障害(SDB)および小児夜尿症(NE)との関連性を調べた研究
・2007-2012年の台湾でのデータベースを用いて評価
・5-18歳のNE患者4308人と, 年齢・性別をマッチさせたコントロール群4308人を比較


結果
・アレルギー疾患とSDBの有病率はコントロール群よりもNE群で有意に高かった(すべてp<0.001)
・潜在的な交絡因子のオッズ比の調整後, 気管支喘息を除いて, アレルギー性鼻炎, アレルギー性皮膚炎, アレルギー性結膜炎, 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を有する小児は, 有しない小児と比較してNEのオッズ比が有意に高かった
・性別の層別化後
 ・女児: アレルギー性鼻炎, アトピー性皮膚炎, アレルギー性結膜炎, OSAおよびいびきのある患者でNEのオッズが上昇していた
 ・男児: アレルギー性鼻炎とOSAのある患者でNEのオッズが上昇していた
・年齢の層別化後:
 ・5-12歳: アレルギー性鼻炎, アトピー性皮膚炎, アレルギー性結膜炎, OSAのある患者でNEのオッズが上昇していた
・NEのオッズは併存するアレルギー疾患の数とともに上昇していた


まとめ
アレルギー性疾患と睡眠時呼吸障害は夜尿症と関連性があるかもしれない

2017年11月10日金曜日

川崎病患者におけるアトピー素因

Atopic diathesis in patients with Kawasaki disease.
J Pediatr 2013; 163(3): 811-5

川崎病とアトピー素因との間の関連性を調べた研究
・5歳未満の川崎病患者200人と, 性別・年齢をマッチさせたコントロール800人とを比較
・アトピー素因: アレルギー性鼻炎, アトピー性皮膚炎, 喘息

結果
・いずれかの併存するアトピー性疾患のリスク上昇が川崎病患者でみられた(OR 1.61)
・アトピー素因のリスクは1-5歳の男児の患者で上昇していた(OR 3.02)
・60%以上の患者が川崎病の診断後にアトピー性疾患を発症していた


まとめ
川崎病患者, 特に1-5歳の男児の患者ではアトピー性疾患のリスク上昇がみられた

2017年8月29日火曜日

小児におけるアナフィラキシー再発の危険因子

The Risk of Recurrent Anaphylaxis.
J Pediatr. 2017; 180: 217-21


小児におけるアナフィラキシーの再発率や危険因子を調べた研究
・カナダの3か所での救急外来で診断されたアナフィラキシーの小児患者の前向きに分析した研究




結果

・2011年4月から2014年2月までの間で292人の小児がアナフィラキシーにより治療を受けた
 ・そのうち200人では少なくとも1年の経過を追うことができた
・経過観察できた児の年齢の中央値は4.7歳
・経過観察中に47人の患者で計65回のアナフィラキシーが発生した
 ・1年でのアナフィラキシーの再発率は17.6%
 ・再発回数と人数: 35人が1回, 7人が2回, 4人が3回, 1人が4回
・再発のみられた患者は再発のみられなかった患者と比較して喘息を有する割合が高い(39.1% vs 17.6%)
・初回のアナフィラキシーの原因のうち97.6%が食物であり, 再発時の原因のうち84.6%が食物であった
・再発の69.2%が中等度と分類されていた
・再発時, 66.2%の症例でエピネフリンが使用され, 50.8%の症例では医療施設外で使用された
・医療施設に運ばれた患者の77.4%では, 病院到着の前後いずれかでエピネフリンが使用されていた


再発の危険因子
・以下の項目でオッズが上昇していた:
 ・喘息(ハザード比[HR] 1.94)
 ・初回のアナフィラキシー時のエピネフリンの使用(HR 2.22)
 ・アナフィラキシー反応のトリガーが食物(HR 11.44)
・ピーナッツによって初回アナフィラキシーが引き起こされた患者では再発率がより低かった






まとめ

・小児のアナフィラキシーの既往のある患者において, 喘息の存在, アナフィラキシーの原因が食物, 初回のアナフィラキシー時のエピネフリンの使用がアナフィラキシー再発の危険因子であった




改訂
・2018/3/20: 一部追記