2019年6月15日土曜日

PFAPA症候群の臨床的特徴と新たな診断基準

Clinical features and new diagnostic criteria for the syndrome of periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis.
Int J Rheum Dis. 2019 May 27 [Epub ahead of print]
Takeuchi Y, Shigemura T, Agematsu K, et al



PFAPA症候群の臨床的特徴と新たな診断基準について検討した日本での研究


方法

・2000年4月から2018年4月までに著者とその他の協力施設で治療されたPFAPA患者257人が対象となった
 ・長期間にわたって繰り返す発熱がみられ, エピソード期間中には血清CRP値上昇を見られた患者を選択した
 ・感染症, 悪性腫瘍, 自己免疫性疾患, 遺伝性自己炎症性疾患は除外した
 ・PFAPA症候群の診断はMarshallやThomasらの診断基準を参照した
・対象となった患者の臨床, 臨床検査, 遺伝, 家族歴のデータを分析した
・さらに好中球のCD64分子の数と血清炎症性サイトカインの濃度を測定した





結果

臨床的特徴
・患者の発症時の平均年齢は2.7±1.6歳であった
 ・患者の90.1%は5歳未満で発症していた
・発熱エピソードは平均1.2±0.8か月 (範囲: 0.5-9か月) 毎にみられており, 平均発熱期間は4.5±1.3日(範囲: 2.0-7.9日)であった
・62%の患者は家族で1人以上, PFAPA所見(繰り返す発熱や慢性扁桃腺炎など)がみられていた
・発熱エピソード中にみられる主な臨床所見と発生頻度:
 ・扁桃腺炎or咽頭炎: 94.8%
 ・頸部リンパ節炎: 58.3%
 ・アフタ性口内炎: 51.8%
 ・咽頭痛: 45.4%
 ・嘔吐: 21.4%
 ・頭痛: 33.6%
・発熱エピソード中に行った血液検査:
 ・項目と平均値:
  ・WBC: 12500±4700/μL
  ・CRP: 6.7±4.6mg/dL
  ・血清アミロイドA (SAA): 669.2±449.8mg/mL
 ・血清IgD値は36.2%の患者で上昇(≧10mg/dL)しており, 上昇している患者での平均値は23.0±12.2mg/dLであった
  ・上昇していない患者での平均値は3.0±2.7mg/dLであった


治療
・257人中95人がシメチジンによる治療を受け, そのうち49人(51.6%)で発作がみられなくなった
 ・投与方法: 15-20mg/kg/日 1日2回投与
・発熱エピソード中のプレドニゾロン内服は151人で行われ, 全員が速やかに解熱した
 ・投与方法: 0.5mg/kg/dose
・扁桃摘出は29人で行われ, そのうち25人(86.2%)で繰り返す症状はみられなくなった


遺伝的背景
・罹患している家族における全体的な発生率は60.2%であった.
・家族内でPFAPA患者がみられた場合:
・85.1%は父か母のいずれかの方に患者がいた
 ・兄弟でみられた例は14.2%であった


サイトカインおよび好中球/単球の活性化
・症状がないときには様々な血清サイトカインの上昇はみられなかった
・発熱エピソード中には血清IL-6, IL-8, IL-18, IFN-γ, G-CSF, IP-10, MIG, MCP-1が上昇していた 
・発熱エピソード中に好中球や単球でのCD64の発現が著明に亢進していた
・健康なコントロールや細菌感染症の患者と比べて, 発熱エピソード中にCD16陽性単球の数は増加していた


診断基準 ・分析結果より以下のような診断基準が作成された


・発熱エピソードの回数を年4回以上とすると, 感度98.0%, 特異度80.8%であった
 ・年3回以上とすると感度99.2%, 特異度67.3%であった
・感染症に対するPFAPA症候群の感度は93.8%, 特異度は94.2%であった
・家族性地中海熱に対するPFAPA症候群の感度は93.8%, 特異度は95.6%であった



まとめ

・PFAPA症候群の新たな診断基準が作成され, 細菌感染症や家族性地中海熱との鑑別において有用かもしれない.

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