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2023年11月22日水曜日

発疹で救急外来を受診した6歳未満の小児における臨床診断と病原体検出


・小児科外来を受診する小児で発疹を呈している症例は少なくない.
・鑑別診断は多岐にわたるが, 一般的に臨床的に診断される川崎病や突発性発疹, 手足口病だけでなく, 様々な原因によるものを含有した非特異的な"ウイルス性発疹症"も挙げられうる.
・MRワクチンが導入される以前は, 麻疹や風疹といったよく知られた感染症も頻度が低くなかったものの, 現在はMRワクチンが導入され高い接種率が維持されていることから, これらの発生はかなり少なくなっている.

・今回の研究では, 麻疹や風疹が高いレベルで予防されている日本において, 6歳未満で発疹を呈した救急外来を受診した児で, 臨床診断および病原体検索を行い, それらの分析を行っている.


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Yasuda M, Shoji K, Tomita K, et al. Clinical and Laboratory Diagnosis of Exanthems Among Japanese Children Younger Than 6 Years Old in the Post-Measles-Rubella Vaccine Era . Pediatr Infect Dis J. 2023 Nov 13.


小児救急外来を受診した, 発疹を呈した6歳未満の小児における臨床診断および病原体検索を行った症例を分析した日本の前向き研究


方法
・対象患者: 発疹を呈して救急外来を受診した6歳未満の小児
・研究期間: 2019年8月~2020年3月
・水痘, 帯状疱疹, 伝染性膿痂疹, 蕁麻疹, 川崎病は臨床的に診断した
・A群溶連菌やアデノウイルス感染症の迅速検査で陽性となった咽頭炎症例では, それぞれA群溶連菌感染症, アデノウイルス感染症と診断した.
・上記以外での非特異的な発疹を呈した患者では鼻咽頭スワブで検体を採取し, 24種類の病原体を検出できるPCR assayを用いて評価を実施した
・最終診断は2人の小児科専門医と1人の小児感染症専門医による議論の末に決定された.


結果
・研究対象期間中に, 6歳未満の小児296人が発疹を呈した救急外来を受診していた
・初診時の臨床診断の内訳:
 ・蕁麻疹 37%
 ・典型的な川崎病 10%
 ・膿痂疹: 3%
 ・水痘 もしくは 帯状疱疹: 2%
 ・A群溶連菌感染症: 1%
 ・その他: 46%
・46%のその他の診断の症例(136例)のうち, 最終的に75例でPCR検査を実施され分析の対象となった
 ・年齢の中央値は2歳
 ・57%が男児
 ・伴っていた随伴症状としては発熱が最も多く, 次いで鼻汁や咳嗽が多かった
 ・発疹の部位: 体幹(77%), 下肢(52%), 上肢(49%), 顔面(44%), 頭部(3%)
 ・形態学的パターン: 紅斑(49%), 丘疹(31%), 丘疹を伴う紅斑(13%)

マルチプレックスPCRによる病原体の検出
・分析が行われた75例中49例(65%)で病原体が検出された
 ・検出された病原体が単一だったのは24例(32%), 複数だったのは25例(33%)であった
・検出された主な病原体:
 ・エンテロウイルス 14例
 ・サイトメガロウイルス(CMV): 13例
 ・HHV-6: 12例
 ・アデノウイルス: 11例
 ・HHV-7: 8例
 ・パレコウイルスA: 3例
 ・麻疹ウイルス: 1例

最終診断
・75例中55例で最終診断が決定され, 20例は原因は不明のままとされた
・47例は感染症と診断されており, その診断は主に以下の通りであった(2例以下は省略):
 ・突発性発疹: 11例
 ・エンテロウイルス感染症: 9例
 ・アデノウイルス感染症: 6例
 ・ウイルス感染症の重複(mixed virus infection): 5例
 ・インフルエンザ感染症: 3例
 ・A群溶連菌感染症: 3例
 ・パレコウイルス-A感染症: 3例
・頻度の多い感染症のうち, 突発性発疹では紅斑のみが多かったが, エンテロウイルス感染症やアデノウイルス感染症では紅斑と丘疹が同程度でみられていた.


結論
・発疹を呈して救急外来を受診していた6歳未満の小児での発疹の主な原因としては蕁麻疹や川崎病, 突発性発疹, エンテロウイルス感染症が特に多かったが, 多岐にわたっていた.


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・いわゆる"ウイルス性発疹"を引き起こす原因は多様であるが, エンテロウイルスな代表的であろうという認識であり, 今回の研究結果とも一致していた. ただアデノウイルス感染症をはじめとして認識よりも多様であるという印象を受けた.

・今回の研究では研究期間が1年未満と比較的短い. ウイルス感染症の流行パターンは種類によって大きく異なるが, 1年周期, あるいは数年に1回のものも存在するため, 比較的短い研究期間だと原因にやや偏りが生じうるかもしれない, と個人的には感じた. 研究期間やその周辺での期間における感染症の流行状況となどと併せた解釈を要するかもしれない.
・ただ現状では一般的な小児科外来では, 発疹を伴う感染症のうちでも病原体特定ができないケースも多いことから, 今回の知見はとても参考になる.


2017年9月24日日曜日

皮膚膿瘍の外科的ドレナージ後のST合剤投与と治療失敗および再発の関連性

Trimethoprim-Sulfamethoxazole Therapy Reduces Failure and Recurrence in Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Skin Abscesses after Surgical Drainage
J Pediatr 2016; 169: 128-34

皮膚膿瘍の外科的ドレナージ後の3日間と10日間での抗菌薬が治療失敗や再発に関連するかどうかを調べた無作為試験
・研究対象期間: 2010年2月〜2012年2月
・救急外来で, 外科的ドレナージを必要とした合併症のない皮膚膿瘍に罹患した3か月から17歳の小児
・外科的ドレナージ後にST合剤の投与を行い, 3日間と10日間のいずれかに無作為に割り付けた


結果
・249人が対象となった
・膿瘍の部位は上半身より下半身の方が頻度は高かった
・37%の患者で皮膚膿瘍の既往歴を有していた
・培養の87%でStaphylococcus aureusが発育した
 ・55%がMRSA, 32%がMSSAであった
・培養の11%でその他の病原体が発育して, 2%では発育はみられなかった
・副作用は17.5%で報告された
 ・主な副作用: 下痢, 嘔気, 嘔吐, 発疹, 腹痛
 ・3日間と10日間の投与群で副作用の発生率に有意差はなかった
・13人(5%)の患者で治療失敗がみられた
・すべての患者では, 3日間と10日間との間で治療失敗率に有意差はみられなかった
・MRSAが発育した患者に限ると, 10日間と比較して3日間の投与群では以下の特徴がみられた:
 ・治療失敗率は有意に高かった
 ・外科的ドレナージ後1か月以内での感染症再発の発生率が有意に高かった

2017年8月16日水曜日

ヘルペス性湿疹(Kaposi水痘様発疹症)患者でのアシクロビル投与の遅れは入院期間延長と関連していた

Delayed Acyclovir and Outcomes of Children Hospitalized With Eczema Herpeticum.
Pediatrics 2011; 128(6): 1161-7


ヘルペス性湿疹(Kaposi水痘様発疹症)で入院した小児の疫学と転帰, およびアシクロビルでの治療の遅れと転帰との関連性を調べた後方視的研究
・生後2か月から17歳までの小児が対象となった




結果

・研究期間中に死亡した患者はいなかった
・S. aureus感染症は30.3%の患者で診断され, 3.9%は血流感染症を起こしていた
・51人(3.8%)の患者がICUへの入院を必要とした
・893人(67.1%)の患者が入院初日にアシクロビルの投与を受けた
・アシクロビル開始の遅れとともに入院日数は長くなった
・多変量解析では, 1日のアシクロビルの遅れは11%の入院期間延長と関連していた
・入院初日での局所性副腎皮質ステロイドの使用は入院期間と関連していなかった


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ちなみに最近流行している手足口病の主な原因であるコクサッキーウイルスA6はKaposi水痘様発疹症に似た症状を呈することがあるため"eczema coxsackium"と名付けれています(Pediatrics 2013; 132: e149-57)

2017年8月4日金曜日

アトピー性皮膚炎の表現型とアレルギー性疾患との関連性

Phenotypes of Atopic Dermatitis Depending on the Timing of Onset and Progression in Childhood.
JAMA Pediatr 2017; 171(7): 655-62

アトピー性皮膚炎の異なる表現型を評価して, 特定の表現型がその他のアレルギー性疾患の発症するリスクがより高いかどうかを調べた研究
6歳時で評価している

結果
・対象は1038人の小児で, うち506人が女児
・以下の4つの表現型に分類された:
 ・2歳未満で発症した早期一過性型: n = 96 (9.2%)
 ・2歳未満で発症した早期持続型: n = 67 (6.5%)
 ・2歳以降で発症した晩期型: n = 50 (4.8%)
 ・なし/頻度が低い: n = 825 (79.5%)
・両親ともにアレルギーの既往のある小児はない小児と比較して, 早期持続型となるリスクが5倍
・早期一過性と早期持続型はともに食物アレルギーと強く関連していた
・早期持続型では喘息発症のリスクが有意に高い(調節オッズ比 2.87)
・晩期型はアレルギー性鼻炎のみと関連があった

結論
・早期型, 特に早期持続型では6歳での喘息や食物アレルギーの有病率が有意に高い