Allergy 2018; 73(4): 916-22
乳児早期に細気管支炎で入院した小児におけるその後の喘息発症と危険因子について検討したフィンランドでの前向き研究
・2001-2004年に生後6か月未満で細気管支炎により入院し, 5-7歳まで前向きに経過観察された小児166人が対象
・細気管支炎は鼻炎, 咳嗽とびまん性wheezesあるいはcracklesで特徴付けられる下気道感染症(LRI)として定義された
・入院中に鼻咽頭吸引が施行され, 抗原検出とPCRを用いて病因のウイルスを決定した
・5-7歳の経過観察の受診時に喘息とアレルギーの有無について評価した
11-13歳時での経過観察の受診
・2014年6月1日から2015年1月31日の間で, 11-13歳時の経過観察の受診が計画された
・対象となった166例(細気管支炎群)と, 1例につきコントロールを4例ピックアップした(n = 664)
・5-7歳の受診時から11-13歳の受診時までの病歴を質問票, 医師による診察, 気管支拡張検査で収集した
結果
・166人のうち138人が研究に参加した: 平均年齢は11.7歳(10.2-13.2歳)・133人のうち18人(13.0%)が11-13歳時で喘息に罹患しており, 11人(61.1%)が男児であった
・13.0%はフィンランドの学童における一般集団の喘息の有病率の約2倍
・14人が過去12か月の間で吸入ステロイドを使用しており, その他4人は受診時に喘息と診断されていた
・年齢と性別をマッチさせたコントロールは全員で112人であった(拒否率は83.1%)
・112人のうち12人(10.7%)が11-13歳で喘息に罹患していた
・9人が過去12か月の間で吸入ステロイドを使用していた
細気管支炎群とコントロールとの喘息の比較
・5-7歳以降でのアレルギー性鼻炎. アトピー性皮膚炎, 喘息に有意差なし
・細気管支炎群の方がコントロールよりもタバコへの曝露の割合は高かった:
・妊娠中の母の喫煙 (13.8% vs 2.7%)
・乳児期での母の喫煙 (21.7% vs 5.4%)
・乳児期での父の喫煙 (36.2% vs 23.2%)
・細気管支炎群において, 11-13歳での喘息と乳児早期でのタバコへの曝露とは有意な関連性はみられなかった
ウイルスとの関連性
・ウイルスと原因となっていた割合:
・RSウイルス: 65.9%
・ライノウイルス: 13.9%
・その他のウイルス: 13.8%
・7.2%ではウイルスは検出されなかった
・ウイルスの種類と喘息発症との間で有意な関連性はみられなかった
危険因子
・細気管支炎群における11-13歳時での喘息の独立した危険因子:
・母が喘息を有する(調整後オッズ比[aOR] 3.5)
・5-7歳時でのアレルギー性鼻炎(aOR 4.06)
まとめ
・11-13歳で喘息のある小児では, コントロールと比べて細気管支炎で乳児早期に入院した児ではタバコへの曝露歴を有する割合が高かった
・乳児早期に細気管支炎で入院した児における, 11-13歳時で喘息を有することの危険因子は「母が喘息を有する」と「5-7歳時でのアレルギー性鼻炎」であった
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