Prevalence, Risk Factors, and Outcomes of Bacteremic Pneumonia in Children. Pediatrics 2019 June
・3つの米国の病院に市中肺炎で入院した18歳未満の小児を対象とした前向きアクティブーサーベイランス研究であるEPIC studyでのデータを分析した 小児の菌血症を伴う肺炎の発生率, 危険因子, 臨床経過などを分析した米国での研究
方法
・以下の項目に該当した患者を研究対象とした:
・急性感染症の症状や徴候がある(例: 発熱)
・急性呼吸器疾患の徴候がある(例: 咳嗽)
・胸部X線で肺炎の所見がある(それぞれの病院の研究担当放射線科医によって判断された)
・以下のいずれかに該当した児は除外した:
・最近の入院歴がある (免疫能正常の児: 7日未満 / 易感染性のある児: 90日未満)
・長期的なケアを行う施設にいる
・気管内チューブがある
・嚢胞性線維症に罹患している
・重度の免疫抑制状態にある
・その他の明らかな診断がある
・それまでに血液培養が採取されていない場合, 研究に登録された時点でルーティーンで血液培養の採取が行われた
・入院後72時間以内に採取された血液培養で病原菌が分離された場合を菌血症とした
・菌血症のある児とない児での特徴を比較するために様々な項目について比較を行なった
結果
・EPIC studyに登録された2358人のうち2143人(91%)で血液培養が採取され, これらの児が今回の分析の対象となった・トリアージから採取までの時間の中央値は2.6時間で, 92.5%が24時間以内に採取されていた
・53人が血液培養陽性であったが, そのうち7人は臨床チームが分離された菌は真の病原菌ではないと考えたために, 基準を満たしたが今回の研究からは除外した
・46人(2.2%)が真の病原菌による血液培養陽性と判断された治療が行われた
・主な病原菌: 肺炎球菌(46%), 黄色ブドウ球菌(13%), A群β溶連菌(9%)
・入院前に外来で抗菌薬を使用されたかどうかで菌血症の発生率は変わらなかった(2.2% vs 2.2%)が, 培養採取前に入院で抗菌薬を投与されていなかった児では菌血症の発生率はより高かった(2.6% vs 0.82%)
・ICUに入院した患者や胸水貯留のみられた患者では菌血症の発生率がより高かった(それぞれ4.3%, 8.4%)
・菌血症に関連する特徴としては以下のものが挙げられた: 男性, 胸水貯留, 胸壁の引き込みやwheezingがない, それまでに抗菌薬が投与されていない
・菌血症のある児ではない児と比べて入院期間の中央値が長かった(5.8日 vs 2.8日)
・菌血症はICU入院や人工呼吸, ショックのオッズ上昇とも関連していた
・黄色ブドウ球菌やA群β溶連菌による菌血症のある児ではICU入院や人工呼吸が必要となる割合やショックに至る割合が著明に高かった
まとめ
・小児の市中肺炎に菌血症が合併している割合は本研究でも低かった
・菌血症の原因としては肺炎球菌が占める割合は高かったが, 黄色ブドウ球菌やA群β溶連菌によるものでは重症となる傾向があるかもしれない
・ICU入院例や胸水貯留例では菌血症を併発しているリスクが高いかもしれない
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