Clinical outcome of recurrent afebrile seizures in children with benign convulsions associated with mild gastroenteritis.
Seizure 2018; 60: 110-4
軽症胃腸炎けいれんと診断された児のうち, 無熱性けいれんを再発した児について評価した中国での前向き研究
背景
・軽症胃腸炎関連けいれん(CwG)はこれまで数多く報告されているが, 予後は良好なようである.・これまでの報告では4.7-20%で再発がみられることが報告されている
・けいれん発作を再発している症例における神経学的予後などについては十分にはわかっていない
方法
・2009年10月から2014年12月までにCwGと診断された入院患者を登録した・研究の対象とした児の基準:
・無熱性けいれんを起こした, それまで健康であった6か月-3歳の小児でのCwGの診断
・けいれん発作の発症は軽度の脱水(5%未満の脱水)を伴っていた
・胃腸炎の経過中に発生したけいれん発作
・臨床検査所見(髄液検査, 血清電解質, 血糖値)は正常
・その他の可能性のある病因を除外するため血糖値, 血清電解質, 腰椎穿刺, EEG, 頭部CT/MRIが施行された:
・EEGはけいれん発作の発症後1週間以内に行われた
・研究期間中に514症例がCwGで入院した. そのうち2年間以上経過観察できたのが481例で, うち37例(7.7%)が経過観察中に無熱性けいれんを起こして, 今回の分析の対象となった
分類
・児を以下の3種類に分類した:
・軽症胃腸炎に伴う無熱性けいれん(AS-GI)
・胃腸炎以外の感染症を伴う無熱性けいれん(AS-nGI)
・誘因のないけいれん(US)
結果
・37人の発症時の平均年齢は14.0±7.3か月, 男女比は2.7だった・37人のうち6人でけいれん発作の家族歴を有していた
・初回にCwGと診断されていた時点での精神運動発達は正常であった
・37人は以下のように分類された: AS-GI 25例, AS-nGI 9例, US 3例
臨床的特徴
・初回の発作後3か月以内に2回目のけいれん発作がみられたのはAS-GI 44.4%, AS-nGI 44.4%, US 33.3%
・けいれん発作のタイプ:
・AS-GI:
・発症時, 再発時でともに強直性けいれんが最も多かった(48%, 64%)
・発症時, 再発時で群発発作がみられたのはそれぞれ56%, 72%であった
・発症時, 再発時でけいれん発作の持続時間はともに1-5分が最も多かった(48%, 72%)
・ほとんどの児は胃腸炎発症後3日以内にけいれん発作を起こしていた
・AS-nGIとUSでも上記の割合は同様であった
・5例で3回目のけいれん発作のエピソードがみられた
脳波検査所見
・初回発作時では3例(9.4%)のみで焦点性放電がみられたが, 再発時では27.8%で焦点性放電がみられた
・焦点性放電がみられた10例のうち2例では3回目の無熱性けいれんのエピソードがみられていた
抗てんかん薬(AEDs)
・6例のみでAEDsが投与された(レベチラセタム[LEV]かバルプロ酸[VPA], あるいはその併用)
経過観察
・経過観察期間は2-7年であった(中央値40.1か月)
・最終的な評価の時点では, 神経学的診察および精神運動発達は37人中36人で正常であった
・1例では言語発達遅滞がみられた
・AEDsを投与されていた6例中5例が2年間のけいれんのない期間を経てAEDsを中止できた
・1例のみがてんかんの診断基準を満たした
まとめ
・初回時・再発時ともにけいれん発作は1-5分の強直性けいれんが多く, 群発がみられることは多い・ほとんどの症例では神経学的診察正常で精神運動発達も正常であった. またてんかんの診断基準を満たしたのは1例のみであり, 再発がみられた症例においても一般的には予後良好なのかもしれない.
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