Pediatrics 2018; 142(1): e20174105
気管支喘息急性増悪をきたした小児における呼吸器ウイルスと治療失敗について検討したカナダの前向き研究
・中等症以上の気管支喘息急性増悪で救急外来を受診した小児(1-17歳)の多施設前向き研究であるDOORWAY (Determinants of Oral Corticosteroid Responsiveness in Wheezing Asthmatic Youth) studyの二次分析
・研究期間は2011-2013年
・細気管支炎, 異物誤嚥, その他の慢性呼吸器疾患が疑われる患者は除外
・すべての児は以下の治療を受けた:
・標準量での経口副腎皮質ステロイド治療(プレドニゾンかプレドニゾロン 2mg/kg [1施設では1mg/kg], あるいはデキサメタゾン 0.3mg/kg)
・サルブタモールでの気管支拡張治療
・(重症の急性増悪患者のみ) イプラトロピウム臭化物投与
・鼻吸引かスワブで検体が採取され, 様々な呼吸器ウイルスについてmultiplex RT-PCR μアレイハイブリダイゼーションアッセイを用いて分析
・小児の気管支喘息の重症度の判断に使用されるPRAM (Pediatric Respiratory Assessment Measure) scoreが用いられた
・4-7点が中等症, 8-12点が重症
・以下の場合を救急外来での治療失敗と定義:
・喘息で入院
・副腎皮質ステロイド投与後8時間以上続く救急外来での治療
・その後入院か長期の救急外来滞在となった, 帰宅後72時間以内での救急外来再診
呼吸器ウイルスとの関連性
・958の呼吸器検体検査のうち:
・591検体(61.7%); 1病原体以上陽性
・81検体(8.5%): 重複感染
・RSウイルス(RSV)とコロナウイルスがもっとも頻度が高い重複感染の病原体だった(n = 13)
・もっとも頻度の高い病原体はライノウイルスであった(n = 282: 29.4%): ライノウイルスCがもっとも多かった (n = 174; 18.2%)
・次に頻度が高かったのはRSVであった(n = 171; 17.9%)
・病原体が検出された児では, 検出されなかった児と比べた以下の特徴がみられた:
・より若年 (中央値: 2歳 vs 4歳)
・タバコへの曝露の割合がより高い(コチニン値≧4ng/mL; 6.8% vs 3.8%)
・発熱がある割合がわずかに高い(29.4% vs 24.2%)
・ライノウイルスが検出された児では, 検出されなかった児と比べた以下の特徴がみられた:
・発熱がある割合がより低い (16.2% vs 41.2%)
・肺炎と診断される割合がより低い (5.0% vs 15.9%)
重症度と呼吸器ウイルス
・重症と診断された割合は33.3%
・重症度とウイルスとの間で関連性はみられなかった
治療失敗と呼吸器ウイルス
・924人中156人(16.9%)が治療失敗となった
・ウイルスが検出された児では検出されなかった児と比べて治療失敗の割合が有意に高かった(20.7% vs 12.5%)
・ライノウイルス以外の呼吸器感染症では治療失敗の割合がさらに高かった(25.4%)
・RSV, インフルエンザウイルス, パラインフルエンザウイルスが治療失敗のリスク上昇と関連していた(それぞれ割合は21.4%, 37.5%, 46.7%)
・絶対的リスクはそれぞれ8.8%, 24.9%, 34.1%上昇していた
・RSウイルス, インフルエンザウイルス, パラインフルエンザウイルスは救急外来における治療失敗と関連性がみられた
・標準量での経口副腎皮質ステロイド治療(プレドニゾンかプレドニゾロン 2mg/kg [1施設では1mg/kg], あるいはデキサメタゾン 0.3mg/kg)
・サルブタモールでの気管支拡張治療
・(重症の急性増悪患者のみ) イプラトロピウム臭化物投与
・鼻吸引かスワブで検体が採取され, 様々な呼吸器ウイルスについてmultiplex RT-PCR μアレイハイブリダイゼーションアッセイを用いて分析
・小児の気管支喘息の重症度の判断に使用されるPRAM (Pediatric Respiratory Assessment Measure) scoreが用いられた
・4-7点が中等症, 8-12点が重症
・以下の場合を救急外来での治療失敗と定義:
・喘息で入院
・副腎皮質ステロイド投与後8時間以上続く救急外来での治療
・その後入院か長期の救急外来滞在となった, 帰宅後72時間以内での救急外来再診
結果
・1012人がDOORWAY studyに登録され, そのうち958人で評価が行われ, 最終的に924人が分析の対象となった呼吸器ウイルスとの関連性
・958の呼吸器検体検査のうち:
・591検体(61.7%); 1病原体以上陽性
・81検体(8.5%): 重複感染
・RSウイルス(RSV)とコロナウイルスがもっとも頻度が高い重複感染の病原体だった(n = 13)
・もっとも頻度の高い病原体はライノウイルスであった(n = 282: 29.4%): ライノウイルスCがもっとも多かった (n = 174; 18.2%)
・次に頻度が高かったのはRSVであった(n = 171; 17.9%)
・病原体が検出された児では, 検出されなかった児と比べた以下の特徴がみられた:
・より若年 (中央値: 2歳 vs 4歳)
・タバコへの曝露の割合がより高い(コチニン値≧4ng/mL; 6.8% vs 3.8%)
・発熱がある割合がわずかに高い(29.4% vs 24.2%)
・ライノウイルスが検出された児では, 検出されなかった児と比べた以下の特徴がみられた:
・発熱がある割合がより低い (16.2% vs 41.2%)
・肺炎と診断される割合がより低い (5.0% vs 15.9%)
重症度と呼吸器ウイルス
・重症と診断された割合は33.3%
・重症度とウイルスとの間で関連性はみられなかった
治療失敗と呼吸器ウイルス
・924人中156人(16.9%)が治療失敗となった
・ウイルスが検出された児では検出されなかった児と比べて治療失敗の割合が有意に高かった(20.7% vs 12.5%)
・ライノウイルス以外の呼吸器感染症では治療失敗の割合がさらに高かった(25.4%)
・RSV, インフルエンザウイルス, パラインフルエンザウイルスが治療失敗のリスク上昇と関連していた(それぞれ割合は21.4%, 37.5%, 46.7%)
・絶対的リスクはそれぞれ8.8%, 24.9%, 34.1%上昇していた
まとめ
・救急外来を受診した中等症以上の気管支喘息急性増悪をきたした小児において, ウイルスの検出と重症度に関連性はみられなかった・RSウイルス, インフルエンザウイルス, パラインフルエンザウイルスは救急外来における治療失敗と関連性がみられた
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