2018年6月13日水曜日

単独の軽度から中等度の血小板減少がみられた小児における転帰

Outcomes in Mild to Moderate Isolated Thrombocytopenia
Pediatrics 2018; 142(1): e20173804


単独の軽度から中等度の血小板減少で血液腫瘍外来に紹介された小児について評価した米国での後ろ向き研究
・2012年6月から2017年6月までにアラバマ州のバーミングハムのアラバマ大学小児血液腫瘍クリニックに紹介されたすべての外来患者を後ろ向き研究
・血小板数:
 ・初回エピソード時, 紹介受診時, 最低値, 最新値を記録
 ・血小板減少を以下のように分類: 軽度(10.1-14.0万/μL), 中等度(5.1-10万/μL), 重度(2.1-5万/μL), 極めて重度(≦2万/μL)




結果

・5年間で2820人の患者が紹介されて, 2256人が血液疾患の評価目的で紹介された
・もっとも頻度が高かった疾患は鎌状赤血球症で, 次に高かった疾患は血小板数減少(n = 204; 9%)であった
・204人のうち, 113人が単独の軽度か中等度の血小板減少であった
・紹介時の平均年齢は10.6歳で, より低い年齢はより低い血小板数と関連性があった
あざや出血が増えやすいという報告の有無で平均血小板数に差はなかった


軽度の血小板減少患者
・113人のうち48人(42%)が紹介時に単独の軽度の血小板減少であった
 ・そのうち8人(17%)が経過観察中に1回以上中等度の血小板減少に進行したが, 重度や極めて重度の血小板減少に進行した児はいなかった
・現在の血小板数の状況: 60%は血小板数正常, 35%は軽度の血小板減少が持続, 4%は中等度の血小板減少
 ・血小板数正常となった小児のほとんどは1か月以内に正常となっていた


中等度の血小板減少患者
・69人が紹介時に単独の中等度の血小板減少であった
・8人(12%)が1回以上重度の血小板減少に進行して, 1人は極めて重度の血小板減少に進行した
・現在の血小板数の状況: 51%は血小板数正常, 22%は軽度の血小板減少, 28%が中等度の血小板減少であり, 重度の血小板減少の児はいなかった


診断
・患者の多くは特異的な診断は特定されていなかった
 ・いくらかの患者では紹介時付近でウイルス感染症状があった
  ・多くの患者では特異的なウイルスの検査は行われていなかった
・中等度の血小板減少で紹介された児のうち14人はITPと診断されたが, 介入を必要とした患者は3人のみだった
・12人の患者は薬剤誘発性血小板減少と診断された
 ・関与していた薬剤: バルプロ酸(4人), メチルフェニデート(2人), デキサメチルフェニデート(2人), リスペリドン(1人), バルガンシクロビル(1人), セルトラリン(1人)
・5人は膠原病と診断された: 全身性エリテマトーデス(SLE) 3人, 若年性特発性関節炎(2人)
 ・2人では関節痛と血小板減少を呈していた
・115人のうち13人(11%)で介入を必要としていた



まとめ

・単独の軽度から中等度の血小板減少で発見された児では経過観察中に血小板数正常となった児は少なくなく, また多くは1か月以内に正常化していた
・介入を必要とした患者は多くなかった

0 件のコメント:

コメントを投稿