背景
・受動喫煙は成人のみならず小児においても様々な健康問題を引き起こすことが知られている.・小児と関連する主な問題としては喘息発作の頻度増加や呼吸器感染症, 中耳疾患, 乳幼児突然死症候群が知られている1).
・小児, 特に若年小児においては家にいる機会が多いことから, 家庭内が重要な受動喫煙する環境であると思われる.
・家庭内での家族の喫煙状況と, 受動喫煙を避ける行動がどの程度児の受動喫煙に影響を与えるかははっきりしていない.
・今回の研究では家庭内での父親の喫煙と受動喫煙を避ける行動, および実際の児の受動喫煙の度合いについて分析している.
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Wang M, Suen Y, Chen SS, et al. Paternal Smoking and Maternal Protective Behaviors at Home on Infant's Saliva Cotinine Levels. Pediatr Res 2018; 83(5): 936-942.
方法
・香港における4つの主要な母子健康センターで, 18か月以下の児がいる喫煙しない母親(平均年齢32.6歳)を集め, 最終的に675人が参加した.・家族の喫煙に関する情報などはすべて記入してもらった質問表から収集した
・389人の児から唾液サンプルを採取してコチニン値を測定した
・コチニンはニコチンの代謝産物である
・家族の喫煙状況は3つのカテゴリーに分けた:
・家族内に喫煙者がいない
・家族内に喫煙者はいるが受動喫煙はない(父が喫煙するが家では喫煙しない)
・家族内に喫煙者がおり, 児に受動喫煙している(父が家で喫煙する)
結果
・児の唾液のコチニン値は1.07ng/mLであった・喫煙している家族がいない児と比べて喫煙している家族がいて受動喫煙している児ではコチニン値は有意に高かった.
・児の近く(1.5m以内)での父の喫煙はより高いコチニン値と関連していた
・キッチンやバルコニーなどでの喫煙といった回避行動でも減らなかった
・父が3m以上離れて喫煙している場合でさえ, 家族が喫煙していない児よりもコチニン値は有意に高かった
・母が受動喫煙を避けようとする行動や家でのたばこフリーのルールはコチニン値低下と関連していないようであった
まとめ
・家庭内で受動喫煙機会や, 児の近くでの喫煙は, 児の受動喫煙の度合いをより強めるかもしれない.・家庭内で喫煙者がいる場合, 家庭内に受動喫煙を避けようとする行動やルールでは児の受動喫煙の影響は小さくできないかもしれない
<参考文献>
1) Centers for Disease Control and Prevention. Health Effects of Secondhand Smoke.
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