2018年5月16日水曜日

分娩様式の小児期早期での感染症での入院の関連性

Association Between Mode of Delivery and Risk of Infection in Early Childhood - A Cohort Study.
Pediatr Infect Dis J 2018; 37: 316-23

分娩様式と小児期早期の感染症のリスクと関連性について検討した, デンマークでの出生コホートに基づいた前向き研究
・デンマークのOdenseでの出生コホート
・研究対象期間: 2010年1月1日から2012年12月31日までの間で妊娠していた女性と,出生した児
・以下の児は除外:
 ・双胎
 ・在胎32週未満で出生した児
 ・嚢胞性線維症, 気管支肺異形成のある児
 ・分娩様式が不明
・データは以下の通り収集:
 ・入院についてのデータはデンマーク全校患者登録から収集
 ・家庭での症状についてはアンケートを行って収集
・感染症は以下の4つのカテゴリーに分類された: 上気道感染症, 下気道感染症, 消化管感染症, その他の感染症(主に不特定のウイルス感染症, 尿路感染症, 不特定の発熱と皮膚感染症)




結果

・母親2328人, 小児2431人が基準を満たした
・最終的には1196人が研究終了時に登録され, 分析の対象となった
・研究の経過観察終了時の平均年齢は3.53歳(1.88-5.10歳)
 ・全観察期間は8539.91人-年
・在胎週数の中央値は40.14週
・117人(4.83%)の児は, 母が妊娠時に喫煙していた
・1921人(79.02%)が経腟分娩, 510人(20.98%)が帝王切開で出生していた
 ・帝王切開は283人が選択的, 227人が緊急であった
・在胎週数, 出生児の兄弟の数, 母の妊娠前のBMIが分娩様式間で有意に差がみられた

感染症での入院
・研究期間中に639人(26.29%)が感染症により1回以上入院していた
 ・442人が1回, 122人が2回, 75人が3回以上 (入院は計971回)
・971回の入院のうち, 47.17%が1歳未満での入院であった
・いずれかの感染症での発生率(IR)は12.08/100人-年であった
緊急帝王切開および経腟分娩で出生した児と比較して選択的帝王切開で出生した児では入院率はより高かった
経腟分娩と比較して選択的帝王切開で出生した場合, 感染症による入院の発生率比(IRR)は1.56であった
 ・潜在的な交絡因子の調整後ではIRRは1.45であった
下気道感染症とその他の感染症でもIRRは有意に上昇していた
・下気道感染症における調整IRRは経腟分娩の児と比較して緊急帝王切開で出生した児で低かった(調整IRR 0.42)
・選択的帝王切開でのIRR上昇は年齢別では0-11か月, 12-23か月で有意に上昇していた
男児では経腟分娩で出生した児と比較して選択的帝王切開で出生した児では調整IRRは上昇していた(1.74)が, 女児では上昇していなかった
家庭での症状
症状全体では, 潜在的交絡因子の調整後, 選択的帝王切開で出生した児と経腟分娩で出生した児ではIRRに差はなかった




まとめ

・選択的帝王切開で出生した児は, 経腟分娩や緊急帝王切開で出生した児と比較して小児期早期の感染症での入院のリスクが上昇しているかもしれない

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