Vomiting With Head
Trauma and Risk of Traumatic Brain Injury.
Pediatrics 2018; 141(4):
e20173123
頭部外傷における嘔吐の評価と外傷性脳損傷について分析した研究
方法
・オーストラリアとニュージーランドの10か所の小児救急外来で2011年4月から2014年11月までに行われた研究の二次分析
・18歳未満の頭部外傷患者が対象
・嘔吐の評価, および様々な要因や以下の両者の存在との関連性について評価:
・臨床的に重大な外傷性脳損傷(ciTBI):
死亡, 脳手術, 24時間以上にわたる気管内挿管, 2泊以上の入院の原因となった外傷性脳損傷
・CTで特定された外傷性脳損傷(TBI-CT)
用いられている予測ルール
・Children's Head Injury Algorithm for the Prediction of Important
Clinical Events (CHALICE) head injury rule:
・Pediatric Emergency Care Applied Research Network (PECARN) rule:
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・いずれも小児の頭部外傷において頭部CTの必要な患者を選別するための予測ルールでよく知られているものです
・外傷性脳損傷の検索するための画像検査として頭部CTが用いられますが, 被爆などの問題があるため, 可能な限り不要な頭部CTを避けるべきであり, その判断のためによく用いられているツールです.
・外傷性脳損傷の検索するための画像検査として頭部CTが用いられますが, 被爆などの問題があるため, 可能な限り不要な頭部CTを避けるべきであり, その判断のためによく用いられているツールです.
結果
・コホート研究に登録された小児19920人のうち, 3389人(17.0%)にいずれかの嘔吐の既往があり, そのうち1006人(29.7%)がその他の予測ルールでの予測因子がない嘔吐単独であった
・頭部外傷の最も多い理由は転落(78.8%)
・それぞれの患者数と嘔吐の既往:
・ciTBI (172人): 76人(44.2%)に嘔吐のエピソードがみられた
・TBI-CT(285人): 123人(43.2%)に嘔吐のエピソードがみられた
CHALICEルールでの予測因子を用いた検討
・嘔吐のみでは患者数は以下の通りだった:
・3回未満: ciTBI, TBI-CTはいずれも0人
・3回以上: ciTIB, TBi-CTはそれぞれ1人, 2人
・嘔吐3回未満の患者でciTBIと関連があった症状・徴候:
陥没性や穿通性の頭蓋骨骨折の疑い, 頭蓋底骨折の徴候, けいれん発作, 意識障害, 傾眠, 高速の自動車事故の高リスクの機序, 3mを超える高さからの転落
・嘔吐3回以上の患者でciTBIと関連があった症状・徴候:
異常な傾眠, けいれん発作, 意識障害, 高速の自動車事故の高リスクの機序, 3mを超える高さからの転落
PECARNルールでの予測因子を用いた検討
・嘔吐のみの患者1006人のうち457人(45.4%)が2歳未満で, それらのうちでciTBIやTBI-CTの患者はいなかった
・嘔吐のみの2歳以上の患者549人(54.6%)のうちciTBI, TBI-CT患者はそれぞれ1人, 2人であった
・嘔吐がみられた患者で, さらに以下の症状・徴候がみられた患者ではそれぞれの状態と有意な関連があった:
・ciTBI: 頭蓋骨骨折の徴候, 意識障害, 頭痛, 行動異常
・TBI-CT: 頭蓋骨骨折の徴候, 非事故外傷, 頭痛, 行動異常
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