小児の便秘に対する腹部単純X線(AXR)の使用と誤診との関連性などについて検討した後ろ向き研究
・2008-2010年にトロントでの小児救急外来を受診した18歳未満の小児のうち, 便秘と診断された患者を対象とした
・便秘の診断後7日以内にその他の疾患と診断され入院した, あるいは外来で外科的介入や放射線的介入が行われたものを誤診と定義
・Leechスコアについても検討した
Leechスコア
・AXRを用いて, 結腸の3か所でのそれぞれの便の貯留量を貯留の程度に応じて0-5点(点数が大きいほど貯留量は多い)で点数をつけて合計点を計算する.
・便秘のない人と比較して便秘のある人では点数が高い
Evaluation of a
method of assessing faecal loading on plain abdominal radiographs in
children. Pediatr Radiol 1999; 29(4): 255-8
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結果
・研究期間中に112381人が救急外来を受診し, そのうち3612人が対象となった
・患者の平均年齢は6.6±4.4歳で50%が男児
・84%の患者に便秘の既往があった
・0.9%で婦人科診察, 9%で直腸診察が行われていた
・46%で腹部X線撮影が行われていた
誤診例の検討
・0.5%(20人)が誤診の基準を満たした
・誤診例での最終診断:
・以下のものはよくみられた: 急性/穿孔性虫垂炎(7人), 腸重積(2人), 腸管閉塞(2人)
・その他の診断(各1人): 卵巣捻転, 視床脳腫瘍, 急性リンパ性白血病, 肛門周囲膿瘍, 心筋症, 膀胱横紋筋肉腫, 膵炎, Hartmann窩穿孔, 中腸軸捻転
・適切な診断に至るまでの期間の中央値は3日
・誤診例のうち45%は初回の救急外来で浣腸が施行されていた
・誤診例ではそれ以外の症例と比較して腹痛を主訴とした割合が高く, 腹部の圧痛がみられた割合も高かった(誤診例vs その他の例):
・腹痛を主訴とした割合: 70% vs 49%
・腹部の圧痛がみられた割合: 60% vs 32%
腹部X線およびその他の検査
・誤診例ではそれ以外の症例と比較して腹部X線撮影が行われていた割合は高かった(75% vs 46%)
・2方向で撮影された割合は両群で差はなかった(47% vs 47%)
・血液検査や超音波検査が行われた割合は両群に有意差はなかった(誤診例vs その他の例):
・血液検査: 15% vs 12%
・超音波検査: 5% vs 9%
・Leechスコアの平均値は両群で有意差なし(誤診例 vs その他の例; 7.9±3.4 vs 7.7±2.9)
まとめ
・便秘と誤診された症例ではAXRが施行されている割合が高く, 腹痛や腹部の圧痛がみられる割合も高かった関連記事
・2017年の研究でも誤診例では腹部X線撮影が行われた割合が高いことがなどが示されています便秘と診断された小児における誤診
Delayed Diagnoses in Children with Constipation: Multicenter Retrospective Cohort Study. J Pediatr 2017; 186: 87-94.e16
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