2018年3月3日土曜日

小児のむずむず脚症候群

はじめに

むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome : RLS)は比較的頻度の高い睡眠に関連する運動・行動異常で, 主に下肢にみられる異常感覚を主訴とする疾患.
鉄欠乏との関連性が指摘されており, 治療として鉄剤投与などが行われることがある.





疫学

有病率
・一般集団の有病率は2.5-15%
・小児期では乳児期から認められ, 小児期全体では2%前後

性差
・女性に多いとされる一方, 小児期では明らかな男女差はないという報告もある12).

遺伝性
・特発性RLSの約40%に家族歴がある

危険因子
・その他の関連した要因:
 ・鉄欠乏
 ・妊娠
 ・透析中の腎不全
 ・ADHD:
ADHD
 ・ADHD児の25%RLSがみられたとの報告もある
・RLSは肥満の小児でよりみられやすいとする報告がある11)





臨床症候

何とも言えない不快な感覚が主に下肢に生じる
 ・安静にしていることで症状が増悪する
 ・痛みを伴うことがある
・脚を動かす, 叩きこする, 歩き回ることで症状が軽減する
10-20%の患者で上肢にも同様の症状がみられる
・小児患者の85%超で睡眠障害がみられるとする報告がある5)10)





臨床検査

血清フェリチン値(FER)
FERRLSの重症度が負の相関を示すとする報告がある4)
・小児RLS患者の90%FER50ng/mLであったとする報告がある5)
・別の報告では71%の患者がFER30ng/mLであった8)





診断

国際RLS研究グループ(IRLSSG)診断基準2012年改訂版
・以下の通り:
1. 主に下肢における不快な異常感覚により, 脚を動かしたいという強い欲求が生じる
2. 症状は, 臥床や座位のような安静時や非活動時に増悪する
3. 歩いたり下肢を伸ばすなどの運動により, 症状が改善あるいは消失する
4. 1日のうち夕方・夜間に発症, あるいは増強するという日内変動を有する
5. 上記の症状はほかの明らかな疾患や要因で起こるものではない





鑑別診断

・主な鑑別診断3): 成長痛, 運動チック, ADHD, 筋肉痛, 脚クランプ, Osgood-Schlatter, 膝蓋骨性軟骨軟化症, 関節痛, 睡眠障害性呼吸(SDB), 周期性四肢運動障害(PLMD), アカシジア





治療

鉄剤投与
FER50ng/mL以下の場合, 鉄剤投与の効果が期待できる
・日本人の報告でも鉄剤投与は多くの症例で効果的であった

その他の薬剤
・ドパミン作動薬やベンゾジアゼピン系が用いられることはあるが, いずれも保険適用外

誘発因子の除去
カフェイン摂取や喫煙, アルコール摂取などが誘因となることがあるため避ける





予後

・ある報告では症状の改善や消失まで時間の中央値は3.8か月であった





<参考文献>

改訂:
2018/8/16: 参考文献10-11追加し, 内容を追加

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