Neonatal
clavicular fracture: Recent 10 year study.
Pediatr Int 2015;
57: 60-3
韓国における新生児の鎖骨骨折症例について分析した後ろ向き研究
・2003年1月から2012年12月に鎖骨骨折したすべての新生児を対象として後ろ向きに分析
・身体診察は入院時と退院時に行われた
・鎖骨骨折は単純X線により確認が行われた
・危険因子に関しては, 早産児と帝王切開で出生した児を除いた患者群とコントロール群(経腟分娩で出生して鎖骨骨折がない正期産児)を比較して分析した
結果
・期間中に77543人が出生しており, そのうち319人(0.41%)の新生児で鎖骨骨折がみられた
・分娩様式別の発生率としては経腟分娩 0.65%, 帝王切開 0.05%であった
・経腟分娩で出生して鎖骨骨折した305人のうち, 42人は吸引分娩で出生した
・319人のうち16人は在胎32-36週の早産児で, 全員が経腟分娩で出生していた
・右側の骨折が左側の骨折よりも頻度が高かった(69.6%
vs 30.4%)
臨床経過
・47.0%は日齢0, 22.6%は日齢1, 8.6%は日齢2, 21.9%は日齢3に診断されていた
・86.2%は退院前に発見されていた
・これらのうち42.6%は診察に基づいて診断されていた
・9.4%は分娩中に骨折が疑われて発見された.
・43.5%は呼吸器症状の評価目的に行われた胸部X線で発見された
・13.8%(44人)は退院後に発見された
・8人は身体診察で発見され, 36人は胸部X線で発見された
・1.6%では腕神経叢麻痺の症状を呈していたが, その後に後遺症は残さず転帰は良好であった
危険因子
・患者群の母はコントロール群の母と比較して以下の特徴がみられた:
・年齢が高い
・身長が低い
・吸引分娩が行われた頻度が高い
・患者群はコントロール群と比較して以下のような特徴がみられた:
・出生時体重が重い(3612±410g vs 3298±391g)
・出生時体重≧4000gの割合も高かった(18.0% vs 3.8%)
・1分と5分のApgarスコアが低い
・1分でのApgarスコア<7は患者群の方でより高頻度にみられた(6.2% vs 2.4%)
・ロジスティック回帰分析で以下が危険因子として特定された:
・吸引分娩: OR 3.275
・出生時体重: OR 1.002
まとめ
・新生児鎖骨骨折の危険因子としては吸引分娩と出生時体重が挙げられた個人的感想
・新生児の鎖骨骨折に関しては, 分娩時に鎖骨骨折が疑われた場合, あるいは出生後の診察で疑われた場合に単純X線で評価されて診断されることが多い印象でした. ただ今回の研究では単純X線で偶発的に発見された症例が少なくなかったことから, 実際には新生児のルーティーンワークでは気づかずに経過している症例も少なくないかと感じました.・従って, 診察では注意してみていくことはもちろんですが, その他の目的で撮影したX線でも改めて注意してみる必要があるかと思います.
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・以前には帝王切開で出生した児における新生児鎖骨骨折について分析した研究も紹介していました帝王切開での新生児鎖骨骨折
Neonatal clavicle fracture in cesarean delivery: incidence and risk factors. J Matern Fetal Neonatal Med 2017; 30(14): 1689-92 帝王切開での新生児鎖骨骨折の発生率と危険因子を調べた韓国での後ろ向き研究
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