Acute Otitis Media
Caused by Streptococcus pyogenes in
Children.
Clin Infect Dis
2005; 41(1): 35-41
小児のStreptococcus pyogenes
(A群β溶連菌;
GAS)による急性中耳炎(AOM)を分析したイスラエルでの前向き研究
・中耳貯留液の検体が採取され培養された0-18歳のAOM患者が対象
・中耳貯留液の検体は鼓膜穿刺で採取したか耳漏から得たもの
・病原体はS. pneumoniae, H.
influenzae, M. catarrhalis, GASのみとした
結果
・患者の平均年齢は14.8±19.1か月(中央値は10.7か月)
・AOMの11311エピソードのうち350 (3.1%)でGASが培養陽性となった
・350エピソード中117ではその他の病原体も培養陽性となった
・その他の細菌はS. pneumoniae (n = 34), H. influenzae (n = 55), M.
catarrhalis (n = 1), 2種類以上の組み合わせ(n = 27)
・GASによるAOM患者の年齢の中央値はその他の病原体によるAOM患者よりも高かった
・GAS単独感染: 16.7か月
・GASとその他の細菌との混合感染: 15.2か月
・GAS陽性となるエピソードの割合は年齢と共に上昇していた
・12か月未満: 1.9%
・12-23か月: 3.5%
・24か月以降: 7.4%
・より高い年齢とユダヤ系がGASによるAOMの危険因子であった
臨床像
・GASによるAOM患者ではその他の病原体のAOM患者と比較して以下のような特徴がみられた:
・発熱, 嘔吐を伴う割合が低い
・その他の上気道感染症の徴候を伴う割合が低い
・片側性の割合が高い
・過去1か月以内で抗菌薬治療が行われていた割合が低い
・GASによるAOM患者では多くが鼓膜穿孔を伴っていた
・乳様突起炎を合併するリスクがその他の病原体よりもGASによるAOMで高い
まとめ
・年齢とともにAOMの原因におけるGASの占める割合は上昇する
・GASによるAOMでは発熱や嘔吐や伴うことや両側性であること割合は低く, 鼓膜穿孔を伴うことが多い
個人的感想
・GASによるAOMではその他の病原体によるAOMと比較していくつかの臨床像での違いはあるようですが, 実際に臨床像のみで区別することはできません. しかし現在の治療戦略であればGASによるAOMを特別に注意する必要はありません.
・24か月以降だとGASの占める割合は7.4%であり, 頻度がとても低いというわけでもないようです.
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