Clinical
manifestations of a cluster of rotavirus infection in young infants
hospitalized in neonatal care units.
J Microbiol
Immunol Infect 2012; 45(1): 15-21
新生児治療室の入院児におけるロタウイルス感染症について分析した後方視的研究
・台湾の3次医療施設の新生児治療室に入院している児を対象とした後ろ向き研究
・2008年10月から2010年9月までで, 臨床的にロタウイルス感染症が疑われた患者に対して酵素免疫法を用いて便検体でロタウイルス抗原検査(感度100%, 特異度99.73%)を行った
・定義:
・院内感染: 入院後72時間以上経過して発症した, あるいは退院後72時間以内に発症したものと定義
・不安定なバイタルサインは以下の打1つ以上を満たすものと定義:
・低体温(中心体温<36℃)
・無呼吸
・徐脈(<100bpm)
・頻脈(>160bpm)
・酸素飽和度低下
・低血圧
結果
・新生児100人で104回のロタウイルス感染症のエピソードが特定された
・発症時の平均年齢は日齢29
・76回のエピソード(72.4%)は院内感染症に分類された
臨床像
・臨床症候と発生頻度:
・軟便:
52.9%
・腹部膨満: 51.9%
・血便や粘液便: 42.3%
・不安定なバイタルサイン: 32.7%
・嘔吐: 21.2%
・発熱: 20.2%
・壊死性腸炎(NEC)は22エピソードでみられた
・10エピソードはBell stage I, 10エピソードはBell stage II, 2エピソードはBell stage III
・市中感染患者と比較した場合の院内感染患者では以下のような特徴がみられた:
・出生時体重がより低い
・在胎週数がより短い
・基礎疾患の有する頻度が高い
・粘血便がみられる頻度が高い
・不安定なバイタルサインがみられる頻度が高い
・院内感染患者と比較して市中感染患者では発熱や水様便がみられる頻度が高かった
・重複感染は16エピソードでみられた: 肺炎 2エピソード, 菌血症 9エピソード, 尿路感染症 2エピソード, サルモネラ胃腸炎・ノロウイルス胃腸炎, RSウイルス感染症 それぞれ1エピソード
臨床検査所見
・白血球数はほとんどの患者で正常範囲内
・血清CRP値は0.02-16.4mg/dLで大きく差がみられた
・便検査では約70%で潜血陽性
まとめ・個人的感想
・新生児におけるロタウイルス感染症では,
特に院内感染において,
乳幼児期のロタウイルス感染症と異なる臨床像を示す傾向がみられた
・後ろ向き研究でありロタウイルス感染症が臨床的に疑われた症例のみで検査が行われていることから,
新生児ロタウイルス感染症の全体像を示しているわけではなく,
またどの程度が症候性となるかは判断できない. 一般的には新生児のロタウイルス感染症は無症状か軽度とされている(NELSON Textbook of Pediatrics 20th ed.)が, 症状を呈する症例は稀ではない可能性があるため注意すべきだろう.
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