2012年に新生児早期のロタウイルス感染症でけいれん発作や無呼吸を呈し, 独特な頭部MRI所見を示す数例が報告され, その後同様の報告がみられるようになった1)
疫学
・発症年齢: ほとんどが日齢4-7で発症する2-4)
臨床症候
・ほとんどの症例でけいれん発作を呈するほか, 胃腸炎症状(特に下痢)や無呼吸を呈することがある.2-5)
・発熱はほとんどの症例ではみられない2-5)
検査所見
・90%超の症例では便検体でのRT-PCRでロタウイルスが検出される
・血清や髄液でのRT-PCRではロタウイルスは検出されない
・その他の原因の脳症を起こした新生児と比較して血清Ca値が低いという報告があり, 病態形成への関与の可能性が疑われた6)
画像所見
・頭部MRIの拡散強調画像(DWI)で脳室周囲白質および脳梁を含む白質路の左右対称性の拡散制限がみられる2)
(Korean J Pediatr 2016; 59(7): 285-91から引用) |
神経学的予後
・小規模な後ろ向き研究では40-50%に神経発達遅延が認められていた3-4)
・その他の原因の脳症と比較すると神経発達の転帰は良好とする報告もある6)
まとめ
・新生児期の特に日齢4-7にけいれん発作で発症した場合にはロタウイルス感染症も鑑別に挙げる必要があるかと思います.・頭部MRIで特徴的な画像所見を呈することから, そのような所見がみられた場合には便検体でロタウイルスについて検査したほうがいいかもしれません.
・病態形成などでは不明な点も多く, また疫学的・臨床的データもまだ乏しいため, 今後のさらなる報告が望まれるでしょう.
参考文献
1) Development of cystic periventricular leukomalacia in newborn infants after rotavirus infection. J Pediatr 2012; 160: 165-8.e1.
2) Distinctive
pattern of white matter injury in neonates with rotavirus infection. Neurology
2015; 84(1): 21-7
3)
Neurodevelopmental outcomes in newborns with neonatal seizures caused by
rotavirus-associated leukoencephalopathy. Seizure 2018; 56: 14-9
4) Neonatal
seizures accompanied by diffuse cerebral white matter lesions on
diffusion-weighted imaging are associated with rotavirus infection. Eur J
Paediatr Neurol 2014; 18(5): 624-31
5) Association of
Rotavirus With Seizures Accompanied by Cerebral White Matter Injury in
Neonates. J Child Neurol 2015; 30: 1433-9
6) Clinical
Findings and Neurologic Outcome in Neonatal Encephalopathy With White Matter
Injury Accompanied by Rotavirus. J Child Neurol 2018; 33(4): 297-305
0 件のコメント:
コメントを投稿