Pediatric
myocarditis: presenting clinical characteristics
Am J Emerg Med
2009; 27(8): 942-7
・2か所の3次小児医療施設での10年にわたる急性心筋炎とDCMの小児患者(18歳以下)を対象とした後ろ向き横断研究
・患者はICD診断コードに基づいて特定された
・心毒性のある薬剤や先天代謝異常 , 奇形症候群, 神経筋疾患, その他の家族性症候群などのその他の原因によるDCMは除外
結果
・62人の患者でデータ分析が行われた:
・最終診断は心筋炎24人(38%),
DCM(61%)
・患者の平均年齢は3.5歳(範囲: 6日-17歳)で, 男児47%, 女児53%
臨床像
・最終診断前の有症状期間の平均は7.6日(SD±13日)
・8人(13%)が死亡した
・32%でウイルス性の病原体が判明して, パラインフルエンザが8例(13%)で最も頻度が高かった
・受診時に認めた症状:
・息切れ(69%), 嘔吐(48%), 哺乳不良(40%), 上気道症状(39%), 発熱(36%), 無気力(36%)
・受診時に認めた身体所見:
・多呼吸(60%), 肝腫大(50%), 呼吸窮迫(47%), 肺の診察での異常(34%)
・66%の患者では心拍数は正常であった
・受診時の臨床検査データ:
・白血球数: 平均値11400/μl (範囲4100-34200)
・トロポニン: 13例のみで検査されていて, 54%で上昇していた
・CK: 22例で検査されていて, 73%で上昇していた
・心電図:
・施行された59例のすべてで異常所見を認めた
・異常所見: 洞性頻脈(46%), 心室肥大(41%), ST異常(32%), T波異常(31%), 脚ブロック(10%), 不整脈(8%), AVブロック(5%), QT延長(5%)
・胸部X線:
・施行された59例中53例(90%)で異常を認めた:
・異常所見: 心肥大(63%), 肺水腫(15%), 肺の浸潤影(5%), 胸水(2%)
・心エコー:
・61例中60例で異常所見を認めた
・心筋生検:
・6例で施行され, 5例は心筋炎の所見と一致した(1例は検体不良)
診断までの経過
・初期評価が行われた62人のうち, 52人では診断までに追加評価を必要とした
・初回評価時の診断:
・呼吸器感染症: 13例(25%)
・心疾患: 8例(15%)
・組み合わせた診断: 4例(8%)
・肺炎+心肥大3例, 先天性心疾患+心肥大1例
・その他の診断: 21例(40%)
・診断が不明: 12例(12%)
・2回目の評価時の診断:
・呼吸器感染症(肺炎): 5例(25%)
・心疾患: 4例(20%)
・組み合わせた診断: 2例(10%)
・肺炎+DCM 1例, 肺炎+心肥大1例
・その他の診断: 5例(25%)
・診断が不明: 4例(20%)
まとめ
・急性心筋炎やDCMの臨床像や検査所見は多様であり, いずれも他疾患と間違いうるものではある. その中で心電図所見に関してはほぼ全例で異常所見がみられることから, 急性心筋炎やDCMを考慮した場合には心電図検査を施行することがキーとなるだろう.
・他の文献で低血圧による症状(失神, けいれん発作, 無気力など)が2/3でみられることから, それらの症状が伴っていた場合には注意が必要だろう.
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