2017年12月25日月曜日

川崎病で発熱以外の症状が持続する場合は冠動脈病変のリスクかもしれない

背景

川崎病(Kawasaki Disease : KD)は主に小児でみられる原因不明の疾患であり, 病態の中心は全身性の血管炎である.
KDでは様々な臨床症状がみられ, なかには比較的特徴的な症状も存在するが, 中でも発熱はその有無が治療の反応性の評価などに用いられている.
しかし時に治療により解熱したもののその他の川崎病症状が持続する例が存在することが知られている. こういった例の詳細に関しては十分知られていない.

今回の研究では, そういった発熱以外の川崎病症状が持続した例について分析している.




-----------------------------


川崎病の解熱後に発熱以外の症状が続く症例の評価を行った後方視的研究


方法

・研究期間:200841日から2009331
・国立成育医療研究センターにKDで入院した患者
・患者を以下のように2群に分けた:
 ・グループA: 発症後1か月で発熱以外の症状がみられた患者
 ・グループB: 発熱以外の症状の持続がみられなかった患者





結果

IVIG治療が行われた77人のKD患者について分析
・77人を2群に分けたところ, 以下の通りであった:
 ・グループA: 12(15.6%)
 ・グループB 65(84.4%)
・グループ間のベースラインの臨床検査データおよび発熱期間については両群で有意差なし
グループAの患者において持続した発熱以外の症状としては以下のものが頻度が高かった:
 ・口唇発赤(6人)
 ・眼球結膜充血(8人)
・発症後1か月で冠動脈異常(Coronary Artery Abnormality : CAA)を発症したのは割合:
 ・全体: 77人中7(9.1%)
 ・グループA: 12人中4(33%)
 ・グループB: 3(4.6%)
・グループAでCAAを発症した4人のうち2人では発症後1か月でCRP値が正常よりも高かった(それぞれ2.9, 4.0mg/dL)
グループAの患者3人とグループBの患者1人が解熱後にCAAを発症していた.





まとめ

・KDで発熱以外の症状が持続する場合には冠動脈病変のリスクかもしれない.

0 件のコメント:

コメントを投稿