2017年11月15日水曜日

GBSの新生児感染における分娩時抗菌薬予防投与の効果

Effects of Intrapartum Antibiotic Prophylaxis on Neonatal Acquisition of Group B Streptococci.
J Pediatr 2017; 190: 169-73.e1


母体B群溶連菌(GBS)保菌と分娩中の抗菌薬予防投与(IAP)によって影響される新生児期でのGBS定着の発生率を評価した研究
・研究期間: 201410月から20155
730人の新生児から, 鼻咽頭スワブおよび直腸スワブ検体が生後1週と1か月の時点で採取された
GBSと莢膜血清型はRT-PCRと培養によって特定




結果

64人の新生児(8.8%)RT-PCRおよび培養でGBS陽性であった
GBSを保菌している母から出生した新生児(n=107)のうち, 94.4% (101/107)で母体IAPが行われていた; それにも関わらず, 19.6%GBS陽性であった
 ・保菌していない母から出生した新生児の6.5%GBS陽性であった
IAPを受けた母から出生した新生児のうち, 生後1週と1か月で両方陽性であった児よりも生後1か月のみで陽性であった児の方が多かった
IAPを受けた母から出生した児におけるGBSの頻度はIAPを受けていない新生児よりも有意に低かった(P < .05)
・莢膜血清型Ⅴ(25%)およびⅢ(23.4%)がよくみられ, Ib(15.6%), Ia(14.1%), (7.8%), (6.3%), nontypable (4.7%), ⅥとⅧ(それぞれ1.6%)が続いた




まとめ・個人的感想

・以前から指摘されている通り, 分娩時の抗菌薬予防投与は遅発型に対する予防効果はありません(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2007).
・遅発性の定着が今回の研究で確認されており, また当然のように, 母がGBS陰性で児がGBS陽性の症例も存在することから, 結局のところ感染徴候の新生児全員でGBS感染症は考えなければなりません.

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