Effectiveness of β-Lactam Monotherapy vs Macrolide
Combination Therapy for Children Hospitalized With Pneumonia.
JAMA Pediatr 2017;
Oct 30
小児市中肺炎の治療
・近年, 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017が発表されており, 臨床現場では基本的にこのガイドラインの内容に沿って治療されていると思われる.・ガイドラインの主な内容としては以下の通り
・市中肺炎に対する抗菌薬投与は全例では必要はない
・細菌性肺炎を疑う場合には抗菌薬投与を行い, 以下の抗菌薬が第1選択:
・外来例: アモキシシリン
・入院例: アンピシリン(ABPC)
・マイコプラズマなどによる非定型肺炎を疑う場合には, マクロライド系が第1選択
・実際の臨床現場では, 時に細菌性肺炎と非定型肺炎の両方を考慮して, βラクタム系+マクロライド系の併用療法が行われていることがある.
・ただ両者を考えなければならない状況はあまり多くないと思われる.
小児市中肺炎に対してのβラクタム系単独治療とマクロライド併用治療での効果を比較した多施設前方視的研究
・2010年1月1日から2012年6月30日までに3つの小児病院に入院した市中肺炎が対象
・患者は全員小児(最高18歳)
・放射線学的に確認された肺炎で, βラクタム系単独かマクロライド系併用の治療が行われた患者が対象となった
・主要評価項目: 入院期間
・副次評価項目: ICU入院, 再入院, 経過観察時での自己報告での回復
結果
・1418人の小児が対象となった: 年齢の中央値は27か月(四分位範囲: 12-69か月)
・これらは研究期間中に放射線学的に確認された肺炎罹患児の60.1%を占める
・71.9%がβラクタム単独で治療され, 28.1%がβラクタムおよびマクロライド併用で治療された
・マッチしていないコホートでは両者で入院期間に有意差はなかった
・propensity-matchedコホートでも同様の結果が示された
・副次評価項目でも両者に有意差はなかった
まとめ
・市中肺炎で入院した小児に対する治療では, βラクタムにマクロライドをルーティンで併用することの有益性は示されなかった
・ただ, 個人的には併用療法と言えば, 1歳や2歳でマイコプラズマ肺炎も考慮されて念のためにと行われている経過で見かけるイメージが強いため, そういった診療に対しては1つ参考となる結果ではないかと思います.
改訂
2018/3/12: 「小児市中肺炎の治療」の項目を追加し, その他一部内容を追記
個人的感想
・今回の研究の対象となった小児の多くはマイコプラズマ肺炎に罹患することが少ない5歳未満の乳幼児でした. 従って, マクロライド系が必要な患者の割合は低いと想定されるため差はでなかった, というのは通常考えられるところかと思います.・ただ, 個人的には併用療法と言えば, 1歳や2歳でマイコプラズマ肺炎も考慮されて念のためにと行われている経過で見かけるイメージが強いため, そういった診療に対しては1つ参考となる結果ではないかと思います.
改訂
2018/3/12: 「小児市中肺炎の治療」の項目を追加し, その他一部内容を追記
0 件のコメント:
コメントを投稿