J Pediatr 2012; 160: 487-93
小児において臨床所見がA群溶連菌(GAS)感染症の診断や除外に有用であるかどうか調べたシステマティックレビュー
・溶連菌性咽頭炎が疑われた小児における身体所見の精度について評価した文献のシステマティックレビュー
・咽頭痛や咽頭炎で受診した3-18歳の小児で, 咽頭培養を用いて診断したものを対象とした研究を用いて分析
・迅速検査を使用した研究に関しては, 迅速検査陰性の場合に培養検査でも陰性を確認したもののみは分析に用いた
結果
・34の文献を用いて分析した(対象となった小児は24418人)・全体での溶連菌性咽頭炎の割合は33.8%
・咽頭痛のある小児において, 以下の所見が中等度に有用:
・猩紅熱様発疹(尤度比[LR] 3.91)
・口蓋点状出血(LR 2.69)
・滲出性咽頭炎(LR 1.85)
・嘔吐(LR 1.79)
・有痛性頸部リンパ節腫脹(LR 1.72)
・5つの予測ルールはいずれもGASの可能性が85%を超えなかったため, 溶連菌性咽頭炎の診断に使用できるものはなかった.
・Attia scoreで0点だとLR 0.21であった
・Attia scoreは以下の項目の合計点:
・中等度から重度の扁桃腫大(1点)
・中等度から重度の頸部リンパ節腫脹(1点)
・猩紅熱様発疹(2点)
・中等度から重度の鼻かぜがないことが(1点)
・個々の症状や徴候は溶連菌性咽頭炎の診断や除外には効果的ではなかった
まとめと個人的感想
・個々の症状や徴候, およびそれらを組み合わせた予測ルールは溶連菌性咽頭炎の診断確定や除外に用いることはできない.・臨床的に溶連菌性咽頭炎を診断することは難しいものの, 急性上気道炎症例において迅速検査を行うか否かの意思決定には参考にすべきだろう.
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ちなみに, その後のCohenらの報告でも同様の結果になっています(CMAJ. 2015 Jan 6;187(1):23-32)
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