2017年9月22日金曜日

新生児光線療法と乳児期の悪性腫瘍

Neonatal Phototherapy and Infantile Cancer.
Pediatrics 2016; 137(6): e20151353

新生児の光線療法と1歳までの悪性腫瘍発症との関連性を調べた研究
・対象: 1998-2007年に在胎35週以降でカリフォルニアの病院で出生した5144849人の乳児
・日齢15日未満で光線療法が行われた児および日齢61-365で悪性腫瘍と診断された児を特定



結果

13.9%で黄疸の診断が記録されており, 3.5%(178017)が光線療法を受けていた
 ・光線療法の利用は年とともに増加していて, 1998年の2.9%から2007年の4.4%まで上昇していた
 ・光線療法を受けた児のうち85%は黄疸と診断されていた
・悪性腫瘍を発症した児:
 ・光線療法を受けた小児: 58/178017
 ・光線療法を受けていない小児: 1042/4966832
・光線療法を受けた小児の悪性腫瘍発症の相対リスク(RR)1.6
 ・それぞれのRR:
  ・骨髄性白血病: RR 2.7
  ・腎臓の悪性腫瘍: RR 2.7
  ・その他の悪性腫瘍: RR 1.7
propensity-adjusted分析により以下の腫瘍と光線療法とに関連性が認められた:
 ・悪性腫瘍全体 (調整オッズ比[aOR 1.4]
 ・骨髄性白血病 (aOR 2.6)
 ・腎臓の悪性腫瘍 (aOR 2.5)
・光線療法後の悪性腫瘍のリスク上昇のmarginal propensity-adjusted絶対リスクは9.4/10(number needed to harm10638)
 ・Down症候群の乳児ではnumber needed to harm1285であった






まとめ

・新生児黄疸に対する光線療法は1歳までの悪性腫瘍発症リスクをわずかに上げるかもしれない




個人的感想

・光線療法による悪性腫瘍発生リスクはあったとしても極めて低く, 光線療法によるビリルビン値を下げることの有益性を考慮すれば, 光線療法の使用を制限するものではない.
・ただし光線療法はノーリスクとは考えず, 適応のある患者を十分考慮した上で選択すべきであろう

0 件のコメント:

コメントを投稿