2017年8月19日土曜日

セフトリアキソンと腎後性急性腎不全

Ceftriaxone and Acute Renal Failure in Children.
Pediatrics 2014; 133: e917-22

小児におけるセフトリアキソン(CTRX)関連腎後性急性腎不全(PARF)を後方視的評価した研究
・2003年から2012年までにPediatric Surgery Department of Tongji Hospitalに入院したPARFの児127人のうち, CTRX治療後数日以内にPARFを発症した31例が対象となった
 ・尿管結石や腎傷害の既往のある児はいなかった
・PARFの診断は血清クレアチニンand/orBUN上昇を伴った突然の無尿, 側腹部痛, 腎臓の叩打痛にもとづいて行われた



結果

・PARF発症前のCTRX投与の平均期間は5.2日
・主な臨床症候: 最低24時間以上の無尿(31/31), 側腹部痛(3歳以上, 25/25), 過剰な啼泣(3歳未満, 6/6), 嘔気/嘔吐(19/31)
・9人に軽度の脱水があり, 5人は浮腫を呈していた
・腎臓超音波検査所見:
 ・軽度の両側性水腎症: 6人, 片側性水腎症: 19人
 ・6人は腎臓超音波検査正常
 ・11人で尿管結石を認めた
・転帰:
 ・9人は薬物治療後1-4日で改善した
 ・21人は逆行性尿管カテーテル留置が行われた
  ・留置後, 正常な尿流が認められ, 症状は速やかに軽減した
 ・最終的に全例で改善した
・タンデムマス分光分析により4人でCTRXが結石の主要構成物であることが確認された




まとめ

・セフトリアキソン(CTRX)治療により腎後性急性腎不全が引き起こされることがあり, 尿管カテーテル留置を要することがある


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機序としては
尿中カルシウムの排泄増加とカルシウムの結晶化によりCTRXが結石を形成して尿管を閉塞することでPARFが引き起こす
・CTRX結晶による片側での尿管閉塞が反対側の"反射性無尿(reflex anuria)"を引き起こすことでPARFを招く
 ・reflex anuriaの機序は正確にはわかっていない
が推測されています

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