2017年8月13日日曜日

生後9か月で母乳栄養と混合栄養の児は鉄欠乏/鉄欠乏性貧血のリスクが上昇している

Breastfeeding, Mixed, or Formula Feeding at 9 Months of Age and the Prevalence of Iron Deficiency and Iron Deficiency Anemia in Two Cohorts of Infants in China.
J Pediatr. 2017; 181: 56-61

2つのサンプルにおける生後9か月での母乳栄養と鉄欠乏との間の関連性を評価した中国の前方視的研究
・浙江省(Zhejiang)と河北省(Hebei)の児が対象となった
・鉄欠乏の定義: body iron<0mg/kg
 ・body ironはCookらの式に基づいて血清フェリチンと血清トランスフェリン受容体を用いて計算される(J Lab Clin Med 1989; 114: 368-77)
・鉄欠乏性貧血(IDA)の定義: body iron<0mg/kg + Hb<11.0g/dL




結果

母乳栄養は鉄状態と関連していた(P<.001)
・浙江省において, 母乳栄養の児の27.5%IDAであったが, 人工栄養の児でIDAはいなかった
・鉄欠乏/IDAのオッズは人工栄養の児と比較して母乳栄養の児と混合栄養の児で有意に上昇していた
 ・母乳栄養vs人工栄養: OR 28.8
 ・混合栄養vs人工栄養: OR 11.0
・河北省において, 母乳栄養の児の44.0%IDAであったが, 人工栄養の児の2.8%IDAであった
・共変数調整によりIDAのオッズは母乳栄養群と混合栄養群で上昇していた
 ・母乳栄養vs人工栄養: OR 78.8
 ・混合栄養vs人工栄養: OR 21.0




まとめ・個人的感想

・いずれのコホートでも, 生後9か月において母乳栄養の児と混合栄養の児では鉄欠乏/IDAのオッズは上昇していた.
・これまで多くの研究で母乳栄養の鉄欠乏/IDAへのリスクは指摘されていますが, 母乳栄養の有益性については議論の余地はないと思います. 従って, 母乳栄養を行っている児における鉄状態へのアプローチに関してはさらなる検討が必要かもしれません.

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