2019年9月8日日曜日

小児のO脚

はじめに

・小児の特に乳幼児期ではO脚がみられることがあり相談を受けることがある
・O脚は正常でもみられ生理的O脚と呼ばれており, みられる頻度は高い.
・時に正常ではないO脚もするため注意は必要である.




生理的O脚

・脚の状態は年齢によって変化する. 個人差はあるものの, 脚の変化についておおよそ決まったパターンが存在する
・典型的なパターン:
 ・生まれた時: O脚
 ・立って歩き始めた頃:  O脚が目立つ
 ・2歳頃: O脚がみられなくなりまっすぐとなる
 ・2歳すぎから: X脚
 ・4歳過ぎ: X脚がみられなくなる
 ・6-7歳頃: 正常な状態となる
・従って出生時から2歳ごろまでは正常でもO脚となり, これを生理的O脚(Physiologic varus)と呼ぶ
・生理的O脚は通常X線撮影などの検査は不要で, 特に治療も要しない

・歩行開始時期がより早い場合, 生理的O脚の程度がより強くなるかもしれない1)




鑑別診断

・生理的O脚であれば問題ないものの, その他でもO脚がみられる病気が存在する. そのためそれらとの鑑別は重要となる
・主な鑑別疾患:
 ・Blount病
 ・くる病
・骨異形成症
 ・外傷, 感染症, 腫瘍
 ・先天性脛骨偽関節

・以下のような所見がみられる場合
には生理的なO脚以外の原因を考慮する:
 ・重度の湾曲
 ・進行する湾曲
 ・持続する湾曲(3歳以降)
 ・片側性もしくは非対称な湾曲
 ・歩行時に外側への推進 (lateral thrust with ambulation)
 ・低身長
 ・代謝疾患, 下肢骨折, 感染症や腫瘍の既往


Blount病
・Blount病はO脚がみられることが特徴的な病気である.
・脛骨正常板の非対称な成長(異常骨化が原因)によって引き起こされる. 
・Blount病の危険因子としては, より早期の年齢での歩行, アフリカ系アメリカ人, 過体重, Blount病の家族歴があることが挙げられる1)3)
・多くの場合, 両側性に障害される
生理的O脚は通常2歳までには程度が軽くなるかみられなくなるため, 2歳以降になってもO脚が進行する症例では考慮する


くる病
・ビタミンD欠乏や代謝異常などによって引き起こされる病気で, 病的なO脚もみられる
・くる病の場合に左右対称性に大腿骨と脛骨の湾曲がみられることがあり, O脚のほかX脚となることもある


先天性脛骨偽関節 (Congenital pseudarthrosis of tibia)
・O脚の原因としてはとても稀
・神経線維腫症I型(neurofibromatosis type 1 : NF-1)と関連性が強いことが知られており, NF-1患者の約10%に合併する
・先天性脛骨偽関節患者の55-85%程度をNF-1患者が占めるとされている2).


参考文献

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