2019年9月2日月曜日

小児におけるつま先歩きと出生時の特徴との関連性

A Comparison of the Birth Characteristics of Idiopathic Toe Walking and Toe Walking Gait Due to Medical Reasons. J Pediatr 2016; 171: 290-3

はじめに

・小児において, 一時的につま先歩きがみられることは珍しくなく, 数%でみられると考えられている.
・言語障害や自閉症スペクトラム障害がある児などでみられやすいことが知られている一方, 特に神経精神学的に明らかな問題のない児において一時的につま先歩きがみられることがあり, 特発性つま先歩きと呼ばれている.
・特発性つま先歩きは遺伝的要因など様々な原因が考慮されているが, 十分には明らかなとはなっていない.
・つま先歩きに関しては様々な研究が行われているが, 出生時に関連した特徴との関連性は知られていない.






小児のつま先歩きと出生時の特徴の関連性に分析した研究

方法

・オーストラリアでの後ろ向き研究の診療記録レビュー
・2010年1月から2014年12月までの間で外来のつま先歩きクリニックを受診した小児のすべての診療記録は再検討した
 ・この外来クリニックは2010年に設立され, つま先歩きの児の多方面での評価と診断サービスを目的としている
・このクリニックでは児の出生時や医学的情報や発達の情報を確認するために両親へのアンケートを用いている
・一般的なオーストラリアでの周産期のデータは一般的な集団のデータを用いた




結果

・161人の診療記録を再検討し, 123人が対象となった
 ・除外となった38人は出生時のデータが不十分, もしくは診断が確定していなかった

・つま先歩きの児の内訳:
 ・特発性つま先歩き(Idiopathic toe-walking : ITW): 95人 (そのうち男児60人, 63%), 平均5.8歳
 ・既知の医学的理由があるつま先歩き(TWmr): 28人 (そのうち男児19人, 58%), 平均6.1歳
・既知の医学的理由があるつま先歩きにおける, つま先歩きに関連した診断:
 ・脳性麻痺 (3人)
 ・自閉症スペクトラム障害 (20人)
 ・その他の状態 (5人)


つま先歩きと周産期の状態との関連性
・ITWとTWmrはともに一般集団と比べて早産児であった割合が高かった(18% vs 17.9% vs 8.3%)
・ITWはTWmrと比べて介助を要した経膣分娩である割合が低かった (37.2% vs 48.0%)
・ITWは一般集団と比べて以下の割合が高かった:
 ・出生後の特別治療保育室(special care nursery : SCN)やNICUへの入院
 ・低出生体重児




まとめ

ITWの児は一般集団と比べて, 周産期において低出生体重児や早産児であった割合が高く, 出生後に特別な治療のために入院していた割合も高かった

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