2018年6月1日金曜日

小児早期でのビタミンD補充における標準量と高用量での比較 -骨の強度と感染症の頻度に関して

Effect of Higher vs Standard Dosage of Vitamin D3 Supplementation on Bone Strength and Infection in Healthy Infants. A Randomized Clinical Trial
JAMA Pediatr 2018; May 29



骨の強度と感染症への影響について, 小児に対する高用量と標準量のビタミンD補充を比較したフィンランドでの二重盲検無作為試験
・2013年1月14日-2014年7月9日の間にフィンランドの1施設で出生して1-2日の児が対象となった
・以下の条件の児を分析の対象とした:
 ・母体が定期的な薬の投与を受けておらず, 単胎での妊娠
 ・人種: 北欧
 ・在胎37週0日から42週0日までに出生
 ・出生時体重が±2SD以内
 ・以下のいずれも満たさない:
  ・1日間以上ブドウ糖静注, 抗菌薬, NCPAP治療を必要とした児
  ・3日間以上の光線療法を必要とした児
  ・1日間以上経管栄養を必要とした児
  ・けいれん発作がない
・2016年5月30日まで経過観察を行った


・最終的に対象となった児を以下のいずれかに無作為に振り分けた:
 ・ビタミンD標準量: 400IU/日 (400-IU群)
 ・ビタミンD高用量: 1200IU/日 (1200-IU群)
・ビタミンDは生後2週間から2歳まで連日経口投与した
・経過をみるために生後6, 12, 24か月で受診した
・検査:
 ・25(OH)D値を出生時(臍帯血), 12, 24か月で測定
 ・intact PTHを12, 24か月で測定
・骨の強度は4つの異なる測定方法で評価(生後24か月時)して, 5段階に分けた
・感染症は前向きに記録した研究日記から評価






結果

・4980人がスクリーニングされ, 最終的に975人が対象となって無作為に分けられた
・823人(84.4%)が24か月間の研究期間を完了させた
・ビタミンD補充のアドヒアランスは両群とも88%
 ・24か月の時点でアドヒアランスが最低80%であった児は83.5%


生化学的効果
・出生児の25(OH)Dの平均値は両群で差はなかった
・生後24か月での25(OH)D値:
 ・400-IU群: 30.05ng/mL以上が70.8%, 50.08ng/mL以上が3.2%
 ・1200-IU群: 30.05ng/mL以上が95.4%, 50.08ng/mL以上が38.8%
・イオン化カルシウム値は両群で差はなかった
・血清PTH値は, 生後12, 24か月において, 1200-IU群と比べた400-IU群で有意に低かった


臨床的効果
・生後24か月で, 骨の強度は両群で差はなかった
・両親が報告した感染症の発生率は両群で差はなかった
 ・感染症の特徴も同様で, 呼吸器感染症が多数を占めていた
 ・1200-IU群では抗菌薬治療が行われた割合が有意に高かった(IRR 1.17; 95%信頼区間, 1.00-1.36)





まとめ


・2歳未満の小児に対する高用量ビタミンD補充は, 標準量と比較して骨の強度や感染症の発生率を変化させなかった

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