2017年12月12日火曜日

A群β溶連菌(GAS)性咽頭炎による遅発性発疹


A群β溶連菌(GAS)性咽頭炎による遅発性発疹についての研究


結果

・研究期間中に1028人の患者がGAS咽頭炎で受診した
 ・ほとんどがアモキシシリン(AMPC)で治療された
21人の患者が急性期以後(発症後7日以降)に発疹を示した
 ・発生率は2.0%
・年齢は4-62歳で, 年齢の中央値は8
・発疹はGAS咽頭炎発症後7-20日で出現した
・初期症候は紅色もしくはピンク色の丘疹紅斑で, 徐々に大きくなり癒合した
・四肢(優位に分布して, 手掌や足底も侵された)や体幹, 顔面に左右対称性に分布した
15(71%)で掻痒がみられた
・発疹の出現期間は3-14(中央値 7日間)
・17人(85%)ではAMPC 10日間治療が完了したが経過は良好であった
その後に再発した3例ではAMPCで発疹は誘発されなかった




まとめ

・頻度は低いものの, 溶連菌性咽頭炎症例では急性期以後に発疹を示す症例がある
・皮膚症状はしばしば掻痒を伴い, 左右対称性に全身に分布する可能性がある.
・発疹出現例でその後にペニシリン系を投与された3例はいずれも再発はみられなかった




個人的感想

・個人的な経験ではこのような発疹が出現した例はあまり経験がないのですが, もしかすると経過中に出現していた例はもっと多いかもしれません(通常は再診しないため)
・少なくともI型アレルギーが関与している可能性は低そうなので, ペニシリンアレルギーとは区別できればよりよいかと思います. ペニシリンアレルギーと診断されることで, その後の抗菌薬治療で選択肢が不要に狭まってしまう可能性があるからです. ただし実臨床では容易ではないこともあるため, 今後のさらなる情報が求められるところだろう.

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