2017年10月5日木曜日

小児におけるRed man症候群の危険因子

Defining Risk Factors for Red Man Syndrome in Children and Adults.
Pediatr Infect Dis J 2012; 31(5): 464-8


バンコマイシン(VCM)を投与された小児患者におけるRed man症候群(RMS)について調べた多施設後ろ向き研究
・対象: 最低1回以上VCM静注が施行された患者546(0.5-21)
・患者データと症状は診療記録と両親/看護師の報告から収集



結果

RMS77(14%)で観察された
 ・77人のうち, 新規患者が55(71.4%), 再発患者が22(28.6%)
掻痒, 発疹, 顔面紅潮RMSを発症した患者でよくみられる
 ・上記のうち同時に複数の症状がみられる患者がしばしば観察された:
  ・掻痒+発疹: 59.7%
  ・発疹+顔面紅潮: 49.4%
  ・顔面紅潮+掻痒: 61%
  ・掻痒+発疹+顔面紅潮: 40.3%
62%が投与開始後30分以内に発症した
先行する抗ヒスタミン薬の使用RMSの危険因子として特定された
・多変量回帰分析では以下の項目が危険因子として特定された:
 ・年齢≧2
 ・RMSの既往
 ・VCM投与量≧10mg/kg
 ・VCM濃度≧5mg/mL
・アフリカ系アメリカ人は予防的であった
RMSとジアミンオキシダーゼにおけるSNPとの間で明らかな関連性が観察された
 ・多因子次元数削減分析では関連性は明らかではなかった




まとめ

・危険因子として年齢≧2歳, RMSの既往, VCM投与量≧10mg/kg, VCM濃度≧5mg/mLが挙げられた
・その他の危険因子として抗ヒスタミン薬の先行使用も挙げられた.



個人的感想

・成人ではVCM投与前の抗ヒスタミン薬投与がRMSの発生リスクを低下させるとする報告もあるが, 今回の研究では逆に危険因子として挙げられている. 抗ヒスタミン薬に関してはさらなる検討が必要だろう.

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