A screening test
for the prediction of Dravet syndrome before one year of age.
Epilepsia 2008;
49(4): 626-33
Dravet症候群とは
・典型的には1歳(多くは生後5-6か月頃)までに発症する熱性けいれんで発症し, その後無熱性けいれんやミオクローヌス発作など多彩な発作がみられる, 精神運動発達遅滞なども伴うてんかん・以前は乳児重症ミオクロニーてんかんとも呼ばれていた
・頻度は稀(3歳未満発症の小児てんかんの6-7%)
・てんかん発作は難治性
・熱性けいれんとして発症するため, 初期には熱性けいれんとの鑑別が難しいことも多い.
・鑑別診断: Dravet症候群に似た臨床像を示すがミオクロニー発作を認めないものとしてHVS-GM症候群が挙げられる
臨床的特徴とSCN1A変異分析に基づいた1歳未満でのDravet症候群を予測するためのスコアリングシステム作成を目的とした日本での後ろ向き研究
・1歳前に熱性けいれんを発症した患者96人を登録した
・患者の登録基準:
・1歳前の熱性けいれんの発症
・熱性けいれん発症前の発達は正常
・少なくとも3年間は経過観察が行われている
・熱性けいれんはけいれん発作のエピソード後1時間以内に測定した体温≧38.5℃で判断
・神経疾患に伴ってけいれん発作を起こした患者は除外
・1歳前の熱性けいれんの発症
・熱性けいれん発症前の発達は正常
・少なくとも3年間は経過観察が行われている
・熱性けいれんはけいれん発作のエピソード後1時間以内に測定した体温≧38.5℃で判断
・神経疾患に伴ってけいれん発作を起こした患者は除外
・SCN1A遺伝子について分析した
・Dravet症候群患者は以下の基準を満たした:
・発症前の発達は正常
・1歳前の全般性, 片側性, 焦点性のいずれかの発作の発症
・発熱により頻繁に誘発される発作
・棘徐波複合や分節性ミオクローヌスを伴うミオクロニー発作の存在
・臨床経過中での脳波検査におけるびまん性棘波もしくは局所性棘波
・難治性てんかん
・2歳以後でのゆるやかな精神発達遅滞の徴候
・発症前の発達は正常
・1歳前の全般性, 片側性, 焦点性のいずれかの発作の発症
・発熱により頻繁に誘発される発作
・棘徐波複合や分節性ミオクローヌスを伴うミオクロニー発作の存在
・臨床経過中での脳波検査におけるびまん性棘波もしくは局所性棘波
・難治性てんかん
・2歳以後でのゆるやかな精神発達遅滞の徴候
結果
・Dravet症候群患者46人, 非Dravet症候群患者50人が登録された
臨床データ
・Dravet症候群患者群では非Dravet症候群患者よりも以下のものがみられる頻度が高かった: 生後7か月までの発症, 発作の回数が5回以上, 温水で誘発される発作, 片側けいれん, 焦点性発作, ミオクロニー発作, 10分以上の発作
・性別と家族歴はDravet症候群と関連はみられなかった
・Dravet症候群患者のうち59%が30分以上のてんかん重積発作を起こしていた
・Dravet症候群患者の32%では脳波検査で光突発反応(PPR)がみられた
・PPRの出現時期: 1歳未満 1人, 1-2歳未満 4人, 2-3歳未満 4人, 3歳以降 7人
遺伝子異常
・非Dravet症候群患者のうち12%でSCN1A遺伝子変異がみられた
・全員がミスセンス変異であった
・Dravet症候群患者のうち82.6%でSCN1A遺伝子変異がみられた
・SCN1Aのミスセンス変異や短縮型変異はnon-Dravet症候群の患者群と比較してDravet症候群の患者群で特定される頻度が有意に高かった
Dravet症候群の予測スコア
・以下の予測因子のスコアが6点以上である場合, Dravet症候群の診断において感度97.8%, 特異度94.0%, 陽性的中率93.8%, 陰性的中率97.9%であった
・生後7か月までの発症: 2点
・発作の回数が5回以上: 3点
・片側けいれん: 3点
・焦点性発作: 1点
・ミオクロニー発作: 1点
・10分以上の発作: 3点
・温水で誘発される発作: 2点
・発作の回数が5回以上: 3点
・片側けいれん: 3点
・焦点性発作: 1点
・ミオクロニー発作: 1点
・10分以上の発作: 3点
・温水で誘発される発作: 2点
まとめ
・今回作成された予測スコアを用いると, 高い精度で早期にDravet症候群を予測できるかもしれない
<改訂>
2018/3/5: 「Dravet症候群とは」を追加し, その他の内容も一部追記
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